TRAIN SUITE 四季島 インタビュー

  • 2018.07.11
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みなさんこんにちは。
豊岡真澄です。

取材を忘れてしまうほど、料理と音楽に酔いしれた前回の記事TRAIN SUITE 四季島
今回は総料理長の岩崎さんとピアニストの木住野さんに、お話を伺いました。



JR東日本グループのホテルでフランス料理のシェフを務めた岩崎さんはTRAIN SUITE 四季島に総料理長として乗務されています。


TRAIN SUITE 四季島 総料理長
岩崎 均(いわさき ひとし)さん

1965 年東京都生まれ。大阪あべの辻調理師専門学校卒業。
1987 年ホテルエドモント(現ホテルメトロポリタン エドモント)入社。
宴会調理を経験した後、フレンチレストラン「フォーグレイン」にて中村勝宏氏に師事。
2007 年ホテルメトロポリタン丸の内Dining & Bar TENQOO の料理長就任。
2016 年TRAIN SUITE 四季島総料理長に就任。
中村氏と共にプロジェクトメンバーとして列車運行の準備から関わり、
現在はホテルメトロポリタン エドモントの総料理長も務める。

豊 岡: 本日はとても素晴らしい料理をありがとうございました。
料理は四季島が走った地域の食材を厳選していらっしゃると伺いました。
四季島の料理を作る上でいつも大切にされていることはどんな事ですか。
岩 崎: 今日のコースは、四季島の旅でご提供する料理の一年間の集大成です。
フランス料理はトリュフやフォアグラなどの食材を使いますが、四季島の旅をする地域の食材が料理の中心になるよう心がけています。


6号車のダイニング。
開放感があります。

豊 岡: 季節や地域などの組み合わせなど、難しい要素が多いのでしょうか。
岩 崎: 今回のメニューは2泊3日コースのメニューを中心にしていますが、冬コースの料理なので、メインの一部に季節を問わず楽しめる地元の食材を組み入れました。
豊 岡: 四季島らしく仕上げた料理にはどんなものがありますか。
岩 崎: 例えば、今日のメインになったお肉には“ソースモリーユ“といってアミガサダケを使ったソースを使うのが、我々フランス料理人の定番です。
でも、私はマッシュルームを使った方が美味しいと思ったので、今回は山形産のものを使っています。
豊 岡: すごい!
ちなみに私、2児の母なのですが・・・
岩 崎: それで“ママ鉄”でいらっしゃるのですよね(笑)
豊 岡: そうです!そうです(笑)


前回のコラムでご紹介した“ホロホロ鳥胸肉のローストと
腿肉のパイ包み焼き”には、確かにマッシュルームが。

背が高くて、物腰の柔らかい岩崎総料理長のお話に
どんどん引き込まれていきます。

岩 崎: 四季島に乗務して各地の沿線にいくのですが、そこでお子さんたちを見かけるのはとても楽しみです。
豊 岡: いつか乗ってみたい・・・そんな風に四季島に憧れている子供達はきっと多いと思います。
子供達に向けて何かメッセージをお願いします。
岩 崎: そうですね。
メッセージになるかどうかわかりませんが、今までこの列車に関わってきて嬉しかったのは、ある親御さんの方に「うちの娘の将来の夢は四季島の総料理長になること」と言われたことでした。
また、学校の生徒さんから「四季島の総料理長になりたい」とお手紙をいただいたことがあります。
そういうお子さんたちの声は本当に嬉しいものです。
豊 岡: 子供達が憧れる気持ち、すごくよくわかります。
岩 崎: 最近は少子化の影響もあり、料理人になりたいという人が少ないので、寂しいなと感じています。
料理人はとてもやりがいのある仕事ですから、TRAIN SUITE 四季島の仕事を通じて、子供達に“料理人という職業の魅力“が伝わると嬉しいですね。
もちろん、四季島以外の料理人も大歓迎です。
豊 岡: ありがとうございました。
繊細なフランス料理づくりの魅力を、またぜひ取材させてください。


子供達へのメッセージを話す岩崎さん。
お手紙の話、とても嬉しそうでした。

料理人は、人を幸せにする素敵な仕事だと思います。
“いつかこんな旅に関わってみたい”という憧れは、大人も子供も同じ。

10両編成の四季島には、ダイニングの隣に当たる5号車に専用ラウンジが連結されています。
座席は18名が座ることができます。
乗客の皆さんが運行中に過ごすことはもちろん、ディナーを待ちながら飲み物を楽しむ場所としても使われます。
旅によってはミニコンサートが行われたことも。


5号車のラウンジ“こもれび”

ジャズピアニスト
木住野 佳子(きしの よしこ)さん

東京生まれ。桐朋学園大学音楽学部でクラシックを学ぶ。
1995 年、名門レーベルGRP よりアルバム『フェアリー・テイル』で日本人初のインターナショナル・アーチストとしてデビュー。
現在は、ソロ、ジャズトリオ、ボサノヴァユニット、with ストリングスなど自身のグループの他、鈴木重子、noon、藤原道山、白鳥英美子、上松美香、千住真理子とのコラボレーションの他に映画音楽、TV-CM の作曲・演奏など多様な 音楽性で活動を展開している。
木住野 佳子フェイスブックファンページはこちら

今年1月にピアニストとして四季島で演奏をされたのが、今回のフェアでお会いしたジャズピアニストの木住野 恵子(きしの よしこ)さん。
四季島の車内で実際に演奏された時のお話や“四季島と音楽”についてお話を伺います。

豊 岡: 木住野さんはじめまして。
列車の中での演奏は、列車内だからこそのご苦労があると思います。
ぜひお話を聞かせてください。
木住野: 列車の演奏は、初めての経験でした。
四季島で一番驚いたのは専用の電子ピアノでした。
ピアノは列車に乗せられないほど大きなものなので、これはすごいなと。
グランドピアノは振動に弱い楽器なので、列車のわずかな揺れでも音が狂ってしまうのです。
5号車のラウンジにある専用ピアノは電子ピアノです。
でも、最近のものはグランドピアノの音を再現することを目指して作られていますので、とてもよくできています。
ピアノが列車の中で動かないようしっかり固定されていることにも驚きました。
豊 岡: そうなのですね。
車内に固定されているなんてすごい。
木住野: でも、それぐらいしっかりしたものでないと、列車内でピアノ演奏をすることはできないので、四季島は最初からピアノの演奏を想定して車両を作っていると感じました。


これが四季島専用のピアノです。
これが鉄道車両の中にあるなんてすごい!

豊 岡: 最初にお仕事のお話が来た時はどんな印象でしたか。
木住野: なかなか乗れるものではないので、あぁ〜、あの列車に乗れて嬉しい。というのが第一印象です。
実際に演奏した時もスタッフのみなさんのホスピタリティが完璧で、お仕事なのにとても贅沢な気持ちになりました。
上野駅で四季島を降りたあと、なかなか現実に戻れなくて何時間かぼーっとしてしまったほどです(笑)


音楽についてとてもわかりやすくお話してくださいました。
私が四季島に乗ったら、最初から最後までぼーっとしちゃう気がします(笑)

豊 岡: きっとそうですよね。
車内での演奏はすべて木住野さんが選曲されたのですか。
木住野: 四季島とのコラボイベントだったので、選曲はある程度決まっていたのですが、乗客の皆さまからリクエストをいただいてリストを作りました。
豊 岡: もしお客さまからリクエストがあった場合は、その場で弾けてしまうものなのですか。
木住野: プロでもその場ですぐに演奏するのは難しいので、事前に希望をお伺いして選曲したものをピアノ演奏に合わせて少しアレンジして演奏しました。
豊 岡: 今日の演奏を聴いていたら、木住野さんの演奏に合わせて曲を口ずさんだり、手を叩いている方がたくさんいて驚きました。
お客さまの気持ちに寄り添った演奏をされているからこそ、木住野さんの演奏で自然に体が動いてしまうのだと思います。
皆さんの楽しそうな姿を見て感激でした。
木住野: ありがとうございます。
とても嬉しいです。
私たちの音楽はいつもそんなふうでありたいと思っています。


左がラウンジ(5号車)で右がダイニング(6号車)
特徴的な窓が姨捨駅の夜景に映えます。

豊 岡: 木住野さんが“四季島に似合う”と思われる曲はどんな曲ですか。
木住野: 日本らしいという意味でも、先ほど演奏した“上を向いて歩こう”のリズムが、四季島がゆったりと進んでいく雰囲気にぴったりな気がします。
1月の演奏では卒業シーズンに向かうイメージを加えて“卒業写真”や“ハナミズキ”などの日本の音楽もリストに加えて演奏しました。
バラード系の曲も良いと思います。
豊 岡: 木住野さんのオリジナル曲で四季島に合う曲をぜひご紹介させてください。
木住野: そうですね・・・。
なんか照れますね。
豊 岡: いえいえ、そこをぜひ(笑)
木住野: ありがとうございます。
今日、演奏させていただいたManhattan Daylight(マンハッタン・デイライト)は希望に向かって進んでいくイメージの曲なので、とてもよく似合うと思います。
豊 岡: 最初に演奏されたあの曲ですね。
本物の“四季島のテーマだと思いました。
素敵な演奏とお話。
ありがとうございました。


Manhattan Daylightは2015年発売のアルバム
“アンソロジー”に収録されています。

磐梯山、ひまわり、四季島、本格的な夏はもうすぐそこです。
猪苗代〜川桁駅間

<これからの四季島>
6月5日。
ニュースリリースで2019年度から佐藤 滋(さとう しげる)さんが、岩崎さんの後任として四季島の総料理長に就任することが発表されました。
佐藤さんは今年6月まで東京ステーションホテルの副総料理長を務め、国際的なフランス料理コンクールでも準優勝を果たすなど、実力のある料理人です。
最新の運行状況はこちらです。


新任の佐藤滋 四季島総料理長

深遊探訪
訪れる土地を深く知り、発見し、感じる“TRAIN SUITE四季島の旅”はこれからも続きます。



四季島運行開始一周年の様子
クルーの皆さんの笑顔が印象的でした。

次回もどうぞお楽しみに。

取材協力・写真提供 東日本旅客鉄道株式会社


この記事へのコメント


ガチャピン

私自身、「四季島」に乗車している身です。同じ富裕層の方々が多くご利用されている事に感無量な気持ちで一杯です。『JR東日本』の個人株主としても嬉しい限りです。高級感を漂う雰囲気が何より落ち着くものです。癒しになります。


りょう

ゴージャス!


おこめ

すごい


ぽんで

素晴らしいひとときを過ごせそうですね


ほな

こだわりの列車です。贅沢気分がします。


まこつ

いやぁ、何から何まで贅沢!ですね〜

いつか乗ってみたい!

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