第66話 緊張と情熱の間に(前編)

  • 2018.10.29
  • 2867
  • 3
振り返れば、その日はひどく汗をかいた一日でした。昼間は極度の緊張による汗。夜は情熱のリズムによる汗。二つに共通するのは、どちらもエキサイティングな体験だったということ!まずは昼間の汗のお話しから。

「ロータリークラブ」をご存じでしょうか。1905年に米国シカゴで創設された社会奉仕団体で、日本では1920年に東京で設立されたのを皮切りに、現在国内の会員数は8万名を超える由緒ある団体です。会員は主に企業経営者や役員、医師、弁護士といった方々で、地域毎のクラブに属し活動しています。僕はその中の一つのクラブからお声掛けを頂き、「例会での卓話」~つまり皆さんの前でお話をさせて頂くという機会を、畏れ多くも賜ったのでした。

ロータリークラブの演説台。僕はここではなく、横のスクリーンの前で講話をしました。手前に見える椅子が僕の食事していた場所。
ここでランチを味わえるほどの大物ではございませぬ。
でも美味しかった♪
とにかくちゃんとしたヒト感を重視した格好。
緊張し過ぎて、ジャケットの下は汗だく。
 
 

タイトルは悩んだ末に「スペシャルティコーヒーの世界」と題することにしました。しかしお相手がお相手です。何をどの様にお伝えすれば良いか…。と、そこへ担当の小場さんから問い合わせが。「皆さんプロジェクターを使いますけど、どうされます?プリントを配る人もいますが…。」普段はプリントしか使わないのに、つい背伸びして「プ、プ、プロジェクターで!」と答えてしまい、それが自らを追い込む事態となりました。

自宅PCは古いWinの大きなノート型。iPadも持ってはいましたが、訳あって新品のまま1年ほど放置していた物でした。僕は思い立ってそのiPadでプレゼン資料を作る事にしましたが、まずは初期設定からの状態です。初めての道具に何日も悪戦苦闘し、結局前日も徹夜。当日は寝不足で出来た眼の下のクマを隠すため、伊達メガネを掛けました。

会場は初めて訪れる都内ホテルの宴会場です。向かう電車の中で緊張感が増していき、早くも汗が。会場へ到着すると笑顔の小場さんが迎えてくれ、少しホッとします。クラブの会長をご紹介頂いたあとはすぐにプロジェクターのセッティングです。初めての接続で、投影は…大丈夫です!

人生の大先輩である錚々たる方々を前に、このような場でコーヒーの話が出来たのは光栄でした。
徹夜で作ったスライド。
初めてのアプリで、使い方をネットで調べながら何とかしました。

準備も終わり席に案内されて、ようやく会場の様子を見回すことが出来ました。シャンデリア、たくさんの円卓、僕の席は最前列で会長のお席の隣…緊張感を増すにはこれ以上ない感じです(笑) 程なくして例会が始まりました。前半は会食と同時にクラブの報告などが行われていきます。洋食のコース料理が運ばれてきます。僕は食べるのがとても遅く、緊張のせいもあって喉を通すのが精一杯。でもとにかく余裕で味わっているフリに徹します。

そしていよいよ卓話の時間。照明が落とされ、作ったばかりのスライドの前で、僕の声だけが響きます。脳内がホワイトアウトしかけつつも、経済、産業、そして農産物としてのコーヒー、サードウェイブへと話を進めます。トランプ政権と大坂なおみ選手の話題にも触れました。そして最後に『日本で美味しいコーヒーが飲めるということは、世界が平和であるということ』を力説して、時間通りに終了出来ました。

緊張感が全く収まらないままご挨拶し、撤収し、帰路に着きました。が、興奮冷めやらぬ僕はコーヒーを飲んで落ち着こうと思い、一駅隣の街にあるロースターカフェに向かいました。汗だくで放心状態のまま、相席の大きなテーブルに座り深呼吸。店の奥にある焙煎機を眺めながらハイロースト気味のグァテマラを口にして、ようやく気持ちが落ち着きました。コーヒーが導いてくれた貴重な機会は、こうして無事に完遂したのでした。真っ白に燃え尽きたはずの僕でしたが、早速その日の晩には、情熱的な大地のリズムで更に燃えることになりますが(笑)

立ち寄ったロースターカフェの様子。
青い瓶のコーヒーの店といえば分かるかな?
終了後に頂いた写真と御礼の一文。
自分で見ても誰だか分かりません。

後編へ続く~


この記事へのコメント


ほな

おいしいコーヒーだ。

ニックネーム

※投稿時にこちらの名前が表示されます。
※投稿にはニックネームの登録が必要です。

コメント投稿にはログイン・
ニックネームの登録が必要です