清掃のプロに依頼したクリーニング作業によって、店内は見事なまでにキレイになりました。そして次に助けを仰いだのが様々な造作物の施工、いわゆる大工仕事でした。最初は予算の都合でほとんどの作業をDIYで行うつもりでした。でも思った以上に難しいことが分かり、最終的に店舗の施工を手掛ける知り合い、通称:ミッチェルさんに依頼をしました。彼は僕の店舗イメージをよく理解してくれ、僕の厳しい懐事情も分かった上で様々な提案をしてくれるという、これ以上ない請負人でした。また同じタイミングでもう一人の強力な助っ人が現れました。それは僕の奥さんです。新型コロナウイルスの影響で、奥さんの勤め先が1ヶ月近くの休業となったため、施工期間中にガッツリ手伝ってくれることになったのです!
今回の施工で是非やりたかったことの一つが入り口ドアの交換でした。元々ドアの表側は真っ赤な塗料がベタ塗りされたものだったのですが、僕にはなぜか牢獄の入り口のような印象(笑)で、その佇まいが人の出入りを拒んでいるように感じたのです。でもドアのリニューアルは大変お金がかかるため、悩みどころの一つでした。そこへミッチェルさんは大胆な提案をくれました。なんとドアを変えずに「サンダー(削るための電動工具)の使い方を教えるから、自分達で塗装を削ってみたら?」というものでした。更に店内外の塗装全般も自分で行い予算の削減を図ろうというものでした。僕と奥さんはそのアイデアにチャレンジすることにしました!
ドアのサンダー掛けは、ひたすら削って木目の地肌をキレイに露出させていきます。でも塗料がサンダーの摩擦熱によって溶けるからなのかサラサラとは削り落ちず、赤い粘土を端へ端へと寄せて行くような感じになります。それでも徐々にコツが分かってくると、上手く落とせるようになりましたが、さすがにドア全体を削るのは時間がかかり、細かい隙間などはヤスリを使っての手作業なのでそれなりに労力が必要でした。ただその作業自体が、そこに古く固まったままの“何か”を自力で削ぎ落して行くような感じでもあり、気に入らなかったはずのドアに愛着さえ感じるようになっていきました。
塗装は4ステップの作業でした。初めに「パテ塗り」で壁のキズや凹凸などを埋めて平滑にします。次に塗らない所をテープやシートで覆う「マスキング」。ここまでが下準備。結構時間がかかりますがとても重要。で、いよいよ塗装ですが、最初に「シミ止め」という下地剤を塗ってから「塗装」して好みの色に仕上げます。この一連の作業では奥さんが大健闘!パテ塗りも塗装も妙に上手で、店内の7割くらいは彼女がやったと思います。僕は外壁の高所作業を全部行いました。身長の高さくらいの脚立に立ちローラーをかけるのですが、これが案外怖い。写真で見ると分かるのですが、残したままのテントフレームを避けつつ壁を塗り、さらにそのフレーム自体も塗っていくのです。ちょっとアクロバティックでした。身体のいろんな所が塗料だらけになりましたが。
予算の都合とはいえ自分自身で手掛ける部分を用意してくれ、しかもやり方や注意点を適切に教えてくれたミッチェルさんには感謝の言葉しかありません。実際、教える時間があったらミッチェルさんが自分でやった方が早いしキレイなのです。それでも敢えてこんな機会を与えてくれたのは、僕がどんな風に店作りをしたいのか、その本質を分かってくれていたからだと思うのです。また偶然とはいえ一連の作業を奥さんと一緒に進められたことも、これから始まる自分の店にとってこの上なく幸せなスタートだと感じます。コロナ騒動さえ好機に転じることが出来たのですから、きっとこれからも大丈夫。この場所から『良質なコーヒーのある豊かなひととき』をたくさんの人々にお伝えしていこうと思います!
この記事へのコメント
ぽんで
木目調ってなんかいいんだよね
ほな
手作業店舗は愛着が出ますね。
ほな
見に行きたいです。
m*
すごいなあ…こんなにガラッとイメージが変わるなんて。ドアひとつをとっても、すごくいい。ステキ…。
ほな
やればできる、いい言葉。