信州を代表する漬物の一つ、野沢菜。
スーパーに行けばどこにでも売られるようになってしまったのですが、旬は11月、正確には、漬ける蕪の一種である野沢菜が育つのが11月頃です。
霜が当たる頃、甘みが増して美味しくなると言われ、ひと昔前は初雪の降るころつけられることが多かったと聞きました。つけた野沢菜が美味しくなるのは約1ヶ月後ぐらいから。本漬けという塩と唐辛子ぐらいのシンプルなものは乳酸発酵をしてぐっと美味しさが増します。
ここ数年、この時期には長野にお邪魔して野沢菜を漬けるのが私の恒例行事になりました。
野沢菜の美味しさの秘密はその寒さにあります。ぐっと冷え込んでくればこそ、他の雑菌の動きが弱まり、美味しい漬物に。ですから、本漬けを東京にもに帰って外に放置しておいてもなかなか上手にはいかないのです。
その土地の風土とともに育まれてこそ美味しくなる、同じ地域に暮らす人にとっては当たり前のことでしょうが、その「当たり前」の中に、脈々と続いてきた味があるわけで、本当に尊いものです。
名前の通り、野沢温泉が発祥の地と言われる野沢菜ですが、住民の皆さんは公共の温泉の流れる洗い場を使って野沢菜を洗っていたそうです。それだけ聞くとなんとも風情のある光景を思い浮かべますが、低い洗い場では腰の痛くなることも多かったことでしょうね。
出来上がった野沢菜は、ご飯にお茶受けに大活躍です。写真はとき漬けと呼ばれる浅漬けで、醤油、砂糖、酢で漬け2〜3日味が馴染んだら完成のものです。
本漬けの方は、発酵が進んで少し酸っぱくなってきたらそれはそれでとても美味しくなります。
オススメの食べ方はチャーハンです。
野沢菜を刻んで油で炒めたら、ご飯と合わせて香ばしく焼いてお醤油をジュッと焦がし混ぜれば完成です。ジャコを入れてもいいですが、野沢菜だけでも十分旨味があってやみつきになります。ぜひ本漬けの野沢菜が手に入ったら試していただきたい一品です。書いているだけでも口の中が野沢菜の旨味で溢れて止まりません。
春先ぽかぽかと暖かくなってくるまで、信州の食卓には野沢菜がのぼる日々が続くことでしょうね。
この記事へのコメント
おこめ
美味しそうですね
ぽんで
長野の野沢菜は最高ですね
町の修理屋
当方も野沢菜入りおやきを思い出しました。
また、当地への観光で野沢菜入りおやきを食べたいです。
ほな
野沢菜いりおやきが大好きです。
*
こんな時期ですから旅行もままなりませんが、現地で野沢菜を食べてみたいものです。
ほな
おいしそうです。