東京竹芝客船ターミナルからジェット船に乗って向かったのは伊豆大島。レインボーブリッジの下を潜って工業地帯を眺めてたところまで覚えているのだけど、気付いたら寝落ち…。目が覚めた頃には大島着岸直前でした。
僕が乗り込む高速船。この瞬間はいつも心躍ります。
僕は、無性に島の山を登りたくなって、大島にやってきました。これはなんというか発作的なもので、僕にも理由はよく分かりません。あえていうなら、というよりも、今この原稿を書いているときに気付いたのは、島だけが持っている喜怒哀楽を身体でじっくり味わい、そして島で一番高いところから景色を眺めたかったからだと思います。

着岸後、大島に上陸したらすぐに登山口に向かうバスに乗り込みました。こんなに暑い時期の、これから気温が上がるタイミングで登山口に向かおうなんて人はどうにかしている人だ。だからこのバスは僕の貸し切り状態になりました。
意図せずなった貸し切り路線バスの旅!ちょっと得した気分です。
登山口でバックパックからボトルを2本出して外ポケットに差し込み、カメラを首から下げたら出発です。自宅で準備をしてからそのままどこにも立ち寄らずにここまで来たので、バックパックの中には山道具の他にPCやケーブル類まで入っている…。自由に山を歩くには無駄なものばかりだけど、無駄が多い日常の僕への戒めとしてはちょうどいいかもしれない。
麦茶に炭酸、今回はボトル2本持ちで山に入ります。
椿が左右から被さるようにできたトンネルを抜けて日陰から出ると、目の前には月の惑星のような、もう地球ではないような広い風景が広がっていました。おかげで、徹夜で出発してボーッとしていた僕の頭が一気に覚めました。足音は土から砂、そして溶岩性の意思を踏む軽い音にいつの間にか変わっています。
椿のトンネルは歩いていて心地良く、そして優しい気がしました。
突然現れた景色は、もう地球じゃない気がしました。
強い日差しと湿度に負けないように、途中で麦茶と炭酸水をガブガブ繰り返しながら飲む。麦茶のタイミングではカリカリ梅を口の中に頬張る。奥歯から聞こえるカリカリの音がなんだか気持ちよい。そのままなだらかな坂を上り続けると、360度大パノラマの世界が広がりました。これだけで、もう僕の心のかなりの部分が満たされたような気がしました。
この季節、山で冷えた炭酸を飲めるのは本当に幸せだ!
いつもの山と違う島の山は、歩いているだけでエネルギーを充電できます。
周囲から低木やコケ類が無くなってくると、まさに火山の表情そのものの景色に変わってきました。ここからは火口をのぞきながら山を楽しむ予定…。だったのですが、島の単独峰はそう思い通りにはさせてくれません。空の低いところを走るように流れていた雲は三原山に当たり、そして天候を狂わせます。山中は怒り狂ったかのように風が吹き、そして水分を多く含んだ霧を空気中に漂わせ始めます。
これが島の単独峰。表情が数分で変わります。
霧が身体に当たっただけで腕がビショビショに…。
無事に頂上を踏んで、“心の目”じゃないと見えない三原山火口を見て、視界10メートルで先が見えない道のりを抜けて、別の登山口から下りはじめます。はじめは優しい風に包まれたスタート、その後灼熱の中滝のような汗をかき、頂上では怒り狂ったような霧のせいでまた違った形でビショビショになり、麓に着いた頃にはまた穏やかな山が迎えてくれました。さっきまで激しい気性を見せてくれたおかげで、今この場所があまりにも心地良かったので、あと7キロ歩いて町まで帰ることにしました。
山を下ると穏やかな表情に。まだ上の方は濃霧と強風なのがうかがえる…。
予定ではなかったけど、急にもっとたくさん歩きたくなってしまいました。
久しぶりに数十キロ歩いた僕はもうクタクタ…。宿にチェックインして、まずは布団にジャンピングダイブ!一呼吸してあお向けにひっくり返って天井を見た時に気付いたのは、このクラシカルで掃除の行き届いた部屋の心地よさ。なんとなく選んだ宿が想像以上の当たりだったので、なんだか得した気分です。

汗だくの身体のリフレッシュのためにシャワーを浴びて、PCに写真を取り込み、メールチェックをしたら町に繰り出します。夜の町を気の向くままに歩き、道路からも聞こえる賑やかな声に誘われて居酒屋ののれんを潜ります。お店のおばちゃんの大きな独り言にたまに反応しながら飲む生ビールの旨いこと!飲み屋も大当たりでした。
小さくてとってもクラシカルなスタイルの和室。とても居心地が良かった。
島で食べる刺身は文句なし!
翌日は軽く歩き、大島の外回りを楽しんでから竹芝旅客ターミナルに着港。山の喜怒哀楽。今回も良い旅になりました。この旅もまだまだ共有したいことがあるのですが、長くなってしまうので今日はこの辺で!さて、次はどこに行こうかな?


この記事へのコメント


ほな

6畳間の部屋は大きいです。昔は4.5畳でした。


サーモン

お出かけしたくなりました!


ゆーだいすきかあさん

発作!わかります!
大島って 近くですてきなところなんですね
体力つくりをされているからこそ!かな・・・✨


バジル

大島の大自然を共に満喫


ガチャピン

大島は自然豊かな良い所です。素晴らしい限りです。次回は沖縄県の島々を巡って下さい。沖縄県民として楽しみです。

  • 長谷部 雅一

    沖縄県の島々は巡ってみたいエリアのひとつです!
    チャンスを作って旅をして、そしてこちらで報告させていただきますね。


ほな

4/11 山の日全国大会 記念式典 元自民党総裁 谷垣禎一氏車椅子にて参加する。


ネコ太郎

旅行したくなります!

  • 長谷部 雅一

    そう言っていただけると嬉しいです。
    是非、日帰りでも、宿泊でも、旅をしてください!


mame

椿のトンネルの写真素敵ですね。
足音が変わるという所が、風景の変化を体感したような気になりました。

  • 長谷部 雅一

    椿のトンネルは、異世界空間に入ったような不思議な場所でした。
    また旅の空気をお届けしますね。


ほな

今年度の山の日幹事は東京都です。AI百合子は式典不参加です。


はる326

島の旅行に行きたくなりました。

  • 長谷部 雅一

    そう言っていただけると嬉しいです!
    島は遠いようで意外と近いところにも全国あるので是非行ってみてください。


ほな

定期船はこの前漂流した船と同一ですか。舵が?

  • 長谷部 雅一

    先日のアクシデントがあった船は、大島行きではなかったので僕は大丈夫でした。
    あの船の中にいた方達は本当にかわいそうでした・・・


おこめ

いいですね

  • 長谷部 雅一

    ありがとうございます。
    また共有させてください!


Aloha

山で冷えた炭酸を飲める喜びが伝わってきました!美味しそう。

  • 長谷部 雅一

    それが伝わったのは本当に嬉しいです!
    お散歩でも、ジムでも、通勤中でも熱い中ボトルで炭酸呑んでみてください。
    幸せ共有しましょう!


ミキ

山専ボトルと山、良いですね〜

  • 長谷部 雅一

    ありがとうございます。
    山専ボトル、まだまだ長いつき合いになりそうです 笑


ほな

活躍している山専ボトル。

  • 長谷部 雅一

    はい。山専ボトルは2サイズ僕のフィールドでは毎回活躍しています!


かぐや姫

いいなあ
こんな時間が欲しい!
少しだけ追体験できて楽しかったよ

  • 長谷部 雅一

    そう言っていただけると嬉しいです。
    僕も決して時間と環境に余裕があるわけではないのですが、どうにかひねり出して脱出しています 笑
    また共有させてください。


江戸っ子

大島も暑い夏なのでしょうね。
魅力的な島です!!

  • 長谷部 雅一

    大島、山の悪天候以外はもう灼熱で滝汗が泊まりませんでした 汗
    とっても魅力がある島なので機会があれば是非行ってみてください!


ぽんで

島って本当に魅力的だよなあ

  • 長谷部 雅一

    そうなんです!
    国内外問わず、島って本当に魅力があってつい引かれちゃいます!


コーヒーブレイク

私も大島に行って自然の荒々しさや人知を超えたダイナミックさに驚かされました。大島、おもしろいですよね

  • 長谷部 雅一

    はい!大島、面白いですよね〜
    個人的には次は自転車もいいかなあと思っています!


ポンちゃん

行動力に脱帽! お宿が和風でゆっくりでき、ビールにつまみの刺身がうまそうですねぇ~

  • 長谷部 雅一

    いえいえ。普段はダラダラ自分の中のサボり長谷部と日々格闘しています 笑
    今回の旅は、おっしゃるとおり和風のお宿とビール、つまみは最高でした!


スッチー

良いです。


hirune

日本の良さがでてますね

  • スッチー

    良いです。

  • 長谷部 雅一

    ありがとうございます!
    本当に、日本の良さが詰まっているなと感じました!

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