僕がコーヒーの世界に踏み出した当時、相談にのってくれた先輩から言われたセリフがあります。それは、
「ワインの勉強をしてみたら?」
ここ数年拡がりをみせる新しいムーブメント=「スペシャルティーコーヒー」と呼ばれる良質なコーヒーを求める世界観は、実はワインのそれと大変よく似た所があります。
例えば、その属性や個性の説明に産地や農園、品種といった情報を用いたり、香味の表現に様々な食べ物が持つ香りを「喩え」てみたりするところです。
ワインの世界は長い歴史を経て、今やソムリエなんていう言葉さえも知られるほど成熟し広まってきましたが、一方、コーヒーは未だ発展途上にあると感じています。日本で広く普及しているペーパードリップさえ、抽出方法を正しくご存じの方は案外少ないのが現状です。
それだけにワインの在り方は、今後コーヒーの世界が発展していく過程で一つの道しるべになると感じます。
コーヒーを深く理解するためにワインを知るというのは、遠回りをするようにみえて案外有効であるのかもしれません。
そんな風に似た所もあるワインとコーヒーですが、でもやはり別物。僕の中では、ある決定的な違いがあります。
それは、ワインにおいての消費者はあくまでも消費者であるのに対し、コーヒーは消費者が「生産者としてのゴールも受け持つ」という点です。
ちょっとココから一気に語りますよー。テストに出まーす(ウソ)
あなたがワインを手にした時、それは既に完成品であり口にして
味わうだけです。でもコーヒーはそうじゃない。
農園で作られた生豆が様々な過程を経てあなたの元に届いた時、
それはまだ完成品ではなく、その豆を抽出し飲み物として完成
させるという最後のプロセスを、消費者であるあなたに託されて
いるのです。
つまり、色んな想いを背負ってリレーされてきたコーヒー豆という
バトンを受け取り、「ゴールを目指す最終走者」と言えるのです。
大仰な言い方をするなら、コーヒーを淹れるその瞬間、あなたは
壮大なストーリーのクライマックスを担っているのです。
だからコーヒー豆を販売する時=バトンを手渡す時、無事にゴールして欲しいし、そのために背中を後押ししたい!と思っています。ついどこでも淹れ方のお話しをしてしまうのは、そんな気持ちがあるからなのです。
この記事へのコメント
おこめ
奥深いですね
ほな
コーヒーをウクライナに届けよう。
ほな
ワインは奥深い。
ほな
コーヒーは文化の香りです。