1. ホーム
  2. T's コラム
  3. 「先生の願い」 鉄道学校訪問 その3

「先生の願い」 鉄道学校訪問 その3

  • 2017.07.12
  • 2365
  • 2

豊岡 真澄



鉄道学校訪問、第3回目は学校をご案内いただいた大日方先生をご紹介させていただきます。
大日方 樹先生プロフィール
岩倉高等学校 鉄道科教諭
1993年に岩倉高等学校運輸科を卒業後、
相模鉄道に入社。
2001年に動力車操縦者運転免許(甲種電気車)を取得し、
同社で運転士として活躍する傍ら、2007年に東洋大学法学部で教員免許を取得。
2009年から、母校である岩倉高校に着任。
現在は進路指導部主任 鉄道模型部顧問として
ご活躍されています。
豊 岡: 大日方先生、パワフルだと思っていましたが、すごいプロフィールですね。
大日方: ありがとうございます、でも褒め過ぎです(笑)
豊 岡: そんなことないです。
さっそく質問させてください!
ずっと疑問だったのですが、なぜ運転士から学校の先生になろうと思ったのですか?
大日方: 実は鉄道会社に入った当初、すぐに教員になろうとは思っていなかったのです。
ただ、その前段として「50歳ぐらいになったら、人に何かを教える仕事がしたい」と思っていて、その夢を周囲に話してはいました。
豊 岡: えええ!そうなのですか?
大日方: そうなんです。
教員の仕事は「もっと先の将来」という考えだったのですが、周囲に夢を語るうちに、たくさんの方からアドバイスや人の紹介をいただけるようになりました。
会社に通いながら30歳を過ぎてから教員免許を取得し、私の母校であるこの学校で教員になることができました。
豊 岡: 子供にとっては、運転士も学校の先生も、将来なりたい夢の仕事ですよね。
しかも母校に先生として帰ってくるなんて素敵過ぎます!!!
乗務員経験10年以上のベテランだと伺っていたのでずっと「長い道のり」だという印象を持っていました。
でも、先生にとっては早い実現だったというわけなのですね。
大日方: 確かに言われてみれば長い道のりかもしれませんね。
でも私にとってはあっという間という感じです。
夢中で突っ走ってきたせいかも(笑)

豊 岡: ふたつ目の質問です。
運輸科の生徒さんは3年間でどんなことを学ぶのですか?
大日方: 基本は普通科と同様の授業を行なっていますが、運輸科にはこの他に鉄道や観光に関する専門教育や実習が組み込まれているところがいちばんの特徴です。
運輸科は鉄道や運輸業界への就職希望者が多いので、大学進学を含めた生徒のキャリアサポートに力を入れています。
豊 岡: かなり本格的ですね。
大日方: 生徒それぞれに色々な夢や希望があるので、本人が「どんな仕事をしたいか?」を自分で考えられるよう、指導しています。
1年生では、運賃計算や旅行業の基礎を学び、2年生では工業基礎のほかに鉄道の基礎やホスピタリティなどについても学びます。
鉄道といっても、運転士だけでなく、経営戦略から車両整備までとにかく幅広い職種があるので、3年間で基礎を学んで、少しずつ専門分野を目指すイメージですね。
豊 岡: なるほど、そういう仕事も含めると、鉄道って幅広いですね。
生徒たちが知らない「鉄道の仕事」とか、たくさんありそうです。
大日方: そうですね。
最初描いていたイメージだけで進路を決めると視野が狭くなってしまうので、授業を含めて課題研究、ホスピタリティ、企業へのインターン研修、車両基地見学を行っています。
豊 岡: 生徒たちが、実際の現場に行くのですね。
大日方: 生徒本人にとってやりがいのある仕事、なりたい仕事は実際に自分の目で確かめることではっきりしてきます。
東京の学校なので確かに首都圏の鉄道会社が人気ですが、鉄道を通じて経営や街づくりに関わりたいという生徒もいますので、希望する職種によっては大学への進学を勧めることもあります。
長い歴史のある学校なので、OB・OGが日本全国の鉄道会社で活躍しています。
豊 岡: すごいです!
大日方: そして今年は開校以来初のOGが誕生しています。
豊 岡: 記念すべき年ですね。
大日方: 今年入社したので、これからが楽しみですね。
大日方先生に正しい「挙手の礼」を教えていただきました。
手をまっすぐに伸ばし、腕と頭で三角形を作る感じにするとかっこよく見えます。
豊 岡: 鉄道の仕事に関して、先生が一番大事にしている「基礎」はどんなことですか?
大日方: とにかく「すべては安全から始まる」という一点に尽きます。
どんな事故でも一度起これば誰かの人生を変えてしまいます。
だからこそ、生徒たちには、周囲の安全に常に目を配り、事故を防ぐ側の人になって欲しいと思っています。

乗務員室の取手も怪我をしやすい場所の一つです。

お客さまだけではなく、自分の足元もチェック。
豊 岡: OGのお話に戻りますが、共学になって女子がやってきたことで何か変化はありましたか?
大日方: 女子が学校にやってきて私が一番驚いたのは、彼女たちの面接練習の対応力のうまさですね。
質問に的確に答えることはもちろんですが、いうべきことをしっかり伝える演技力というか、押さえるべきポイントがすごくよくわかっている感じがします。
昨年は10 名の女子生徒が、鉄道会社に内定しました。
豊 岡: わー!さすが女子!(笑)
しかもお姫様状態ではありませんか!!!
女子生徒も鉄道が好きで入学している感じなのですか?
大日方: 女子生徒はとても現実的ですね。
就職先としての安定さや給与水準、自分のやりたいことに合致しているかをしっかり見ている傾向があります。
豊 岡: しっかりしていますね。
男子も負けてはいられないじゃないですか(笑)
大日方: 相談や、面接練習してくださいと自分から言ってくる積極性はすごいですね。
自分のことに関して、パッと一歩踏み出せるのは女子生徒の方がはっきりしています。
男子もそれを見て「俺たちも!」と刺激を受けたみたいです。
昨年の卒業生は良い意味で切磋琢磨している様子でした。

豊 岡: これから鉄道を目指す子供たちに何かメッセージをお願いします。
大日方: 学習でも仕事でもそうなのですが、何かしら自分のやってみたいことというか、小さくても大きくてもそれは関係ないので、夢や目標を持って、それを恥ずかしがらずに、誰かに伝えて欲しいなって思います。
どんな夢であっても、そこから学ぶべきことがたくさんあります。
豊 岡: 深いですね。
大日方: 叶わない夢は、目標設定を変えたり、違う角度から見たりすることで叶うこともありますからね。
自分の目で見て、言葉にすることで、誰かに伝えることで、考え方や行動が確実に変わり、良い情報やアドバイスに巡り会うことができます。
これは夢を叶える上でとても大事なことなのです。
お子さんには「世界が変わる」という言葉の方が伝わりやすいかもしれませんね。
私がこうして教員をしているのも、夢を誰かに伝えてから世界が変わったのがきっかけだと思っています。
豊 岡: 「世界が変わる」
いい言葉ですね。
先生をしていてよかったなって思うことはありますか?
大日方: 教え子がOBとして学校のイベントを手伝いに来てくれたり、鉄道の現場で制服を着て活躍する姿を見たりすると嬉しいですね。
ちょっと前まで高校生だった子が、制服を着てお客さまのために真剣な眼差しと笑顔で生き生きと働く姿を見ると「この仕事をやっていてよかったな」って思います。
豊 岡: 素敵なお仕事ですね
大日方: ありがとうございます。
そういう意味では私の仕事も鉄道関連の仕事です。
豊 岡: ですね(笑)
大日方: そうそう。
最後にヨイショではありませんが、お昼時間に生徒がサーモスのボトルを使っているのをよく見かけますよ。
豊 岡: またまた~(笑)
大日方: もちろん全部が全部ではありませんが、なかなかのシェア率です。
壊れにくくて使いやすいのが人気なのかもしれませんね。
後日スタッフが学校にお邪魔させていただい際に許可を得て撮影。
いました、いました。JNL-502(パールホワイト)FFF-1500F(ブルー)です。
岩倉高校のランチタイムの学生食堂にて6月28日撮影
豊 岡: ありがとうございます!

その後、先生の案内で車掌体験をさせていただきました。
まず初めに停止位置を確認し、
異常がなければドアを開けます。
開いた扉の状態に異常がないか
乗降に異常がないかをチェック
指差確認称呼は「目で見て」「指で差して」「声に出して」「耳で聞く」の4段階。
ひとつひとつの動きに意識を込めて、区切りをつけながらしっかり確認します。

指差しは親指を「中に入れる派」と、「外に出す派」があるそうです。
どっちも正解!なるほど!

扉を閉めたら、ホームの安全を確かめて乗車

出発後も後部に異常がないかしっかり確認
いつもイベントを手伝ってくださる大日方先生。
シミュレーター体験やインタビューを通じて、生徒たちに鉄道の魅力や仕事の厳しさを伝えている
先生のお仕事の一部を垣間見ることができました。

6月24日に先生とトークショー。
先生の爆笑トークにもう釘付けです。
東京シティエアターミナル(T-CAT)にて
誰かに伝えることによって、夢は具体的になり、本当に自分のやりたいことが見つかる。
その言葉は、先生のそんな経験に裏打ちされているのですね。
3回にわたってお届けした「鉄道学校訪問」シリーズ、いかがだったでしょうか。
パンタグラフの構造や、雪の日の運転など書ききれなかったトピックがたくさん。
これはまた番外編で近日中にお伝えできればと思います。

先生の先輩、後輩や教え子たちが、今日も鉄道の現場で活躍しています。
夢に向かってまっすぐに。
いつか教え子さんからお話聞いて見たいです。
次回もどうぞお楽しみに。


  • ツイート
  • シェア
  • はてぶ

豊岡 真澄の記事一覧へ>

#

豊岡 真澄 Masumi Toyooka

鉄道文化人 ママ鉄 埼玉県出身。
元ホリプロアイドル。

1999年に雑誌オーディション合格をきっかけに、ホリプロからアイドルデビュー。
その後、担当マネージャーである南田裕介氏の影響で鉄道ファンとなる。
2005年に「鉄道アイドル」という新ジャンルを開拓したが、結婚を機に2008年にホリプロを退社。
現在は2児の母として子育てに奮闘中。

  (続きをみる)


この記事へのコメント

2017.07.20 19:05
いい笑顔です。
ほな
2017.07.12 16:54
インタビューしているソファー…

って電車のシートだ!!
永野 誠