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以前、「アメリカン」コーヒーのことを話したけれど、今回はその続編を。歴史的な話ってドン引きの人もいるだろうけど、今回は敢えてそんな話。なぜそんなにこだわるかと言うと、コーヒーが、米国だけでなく世界中で一般化したきっかけとも言えるから。
今回は歴史の話と言うより、コーヒーの神様がいるとしたら、その人(人じゃないか)の想い出話ダイジェスト版だと思ってもらえたら。
「ったく、人間てヤツは…」みたいな話ね。 |
まず鉄道や蒸気船の発達により、鮮度を保持した輸送が可能となる。ここで言う鮮度とはあくまでも生豆の状態での話。当時のコーヒー豆は現在のように焙煎されたものではなく、生豆で消費者の手元に届いていた。つまりコーヒーとは基本「自分で焙煎して飲む」ものだったのだ。毎回自分で焙煎って、さすがに面倒。だから19世紀後半には焙煎済みのコーヒー豆が発売されるようになる。大型の焙煎機が開発されたのだ。 流通と製造、つまり産業としての「仕組み」が生み出され、「効率化」していったことが一点。 |
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当時ブラジルではコーヒー豆の過剰生産が問題となっていた。ブラジルは世界の生産量の70%以上を占めていたため、過剰生産による価格下落は構造的に問題だった。そこへ「余った豆を買い取るから僕ら側に付かないか?」と甘いささやきで持ちかけた国が現れる。それは米仏の連合国。第一次世界大戦勃発の直前のこと。そして大量のコーヒー豆が米国に渡る。キナ臭いコトにコーヒーが巻き込まれていく、歴史の1ページ…。
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米国は買い取った大量のコーヒー豆を「兵士の飲み物」として大量消費した。更にその後、禁酒法の時代もやってきたことで、コーヒーは酒の代わりに嗜む「一般的な飲み物」として決定的かつ本格的に拡がった。結果、あんなに困っていたブラジルでは、なんとコーヒーバブルも到来する。 でもバブルは決して長くは続かない。1929年に起きた世界大恐慌で、コーヒー豆は大暴落をする。またもや困ったブラジル政府。そこで今度はある巨大多国籍企業に救済を申し出た。それが後にインスタントコーヒーで有名になる某企業。某企業はその豆をインスタントコーヒーの原料にし、翌年にスイスで、次の年には米国で販売に乗り出した。そのインスタントコーヒーは世界中でヒットし、巡り巡ってその後日本でも「違いが分かる男」ってやつを大量に生み出していく、と。 |
すんごいザックリまとめると、アメリカンなコーヒーが一般化したのは、流通と製造の「仕組みの効率化」に、戦争と経済という「ある種の強者の論理」が相まった結果という訳です。 一杯のコーヒーの向こう側にも、人間の持つたくさんの英知や欲望が積み重なっています。だから時としてあんなにほろ苦いのでしょうか。でもきっと、そんな人間達を温かく見守ってくれているはずです、コーヒーの神様は。 |
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