第59話 天まで届きますように

  • 2018.07.23
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7月上旬、僕は沖縄・石垣島を訪れました。以前からこのコラムをご覧頂いている方なら「また~!?」と思われるかもしれませんね。確かにここ数年は毎年訪れていて、海パンを忘れてみたり、コーヒー農園で衝撃を受けたりなんてあったっけ…。僕は沖縄・八重山エリア全体で数えたら、これまでに少なくとも20回以上は来ている場所なのだけど、今年は二つの“初めて”がありました。一つめは「友人の墓参りの旅」となったことです。

昨年の石垣島訪問の時、その友人・ルミ姉には病室へお見舞いに伺い会っていたのですが、それから僅か数ヶ月後に旅立ってしまったのでした。残念ながらその時はすぐに駆け付けられず、供花を届けるくらいしか出来ませんでした。そこで今回の旅行では、そんな彼女が眠るお墓をどうしても訪れたかったのでした。

  • 空港ってワクワクしますね!
  • 空港の撮影ポイント。ハイ、浮かれてます…。
  • レンタカーで走りだした直後って、島の風景に飛び込んでいく感覚。
新石垣空港に到着すると、真っ先に向かったのがルミ姉の自宅でした。夫のヨッシーは元気そうで、僕らの訪問をとても喜んでくれました。部屋に通されると、その奥には仏壇がありました。正直に言うと、そこに飾られた遺影を目の当たりにしたその瞬間、ふわっと床が抜け落ちるような心許ない感覚…つまりそれが別れを現実のものと意識させられた実感なのだけど、そんな感覚を振り払うかのように、僕は明るく振る舞ってしまいました。

その後ヨッシーの案内で幾つかの場所を経由した最後に、彼女が眠るお墓を訪れました。そこは高台に位置するまだ新しいメモリアルパークで、清々しい風が通り抜ける場所でした。正面には海と空港を発着する飛行機を眺めることが出来ます。「ルミは旅行が好きだったから、今頃は世界中を回っているかもね…」そう呟いた彼の言葉の奥に、彼女への深い愛情を感じずにはいられませんでした。

  • ルミ姉の自宅そばの海。
    一部を特別に海洋散骨した場所です。
  • ヨッシーの仕事場にあるガジュマルの木。
    とても神聖な場所に感じました。
その日の晩は街へは繰り出さず、ホテルで静かに過ごしました。そこはとても居心地の良いリゾートホテルで、夕食を済ませたあとはホテルのビーチを散策してみました。暗がりに目が慣れていくに従い、夜空にはたくさんの星が溢れてきます。ふと眼をやった先に流れ星が、ひとつ、ふたつ、、、5つは見たでしょうか。しばらく眺めているうちに、すぐそばでオプショナルツアーの星空観察会が始まりました。暗がりの向こうから聞こえてくる解説のおかげで、様々な星座やその位置関係はもちろん、それまではただの明るい星だったものが、実は火星、木星、金星、土星であることも分かりました。

  • ホテルのビーチ。
    一番星の金星が瞬いています。
  • コテージが並ぶゆったりした作り。
    これが裏目にでるとはまだ気付かない。
  • いつまでもこの風景が続きますように。
旅の始まりは豊かな自然の美しさや命の尊さを気付かせてくれるものでしたが、同時にそれは数日後にやってくる自然の猛威や命の儚さとのコントラストを、より強く感じさせてくれるものとなるのでした。そう、それが二つめの初めてである、「沖縄の台風直撃を経験」したことでした。

7月10日に八重山地方を直撃した台風8号と、その台風を迎え撃つ?珍道中は次回に。


※ほぼ時を同じくして西日本を襲った豪雨により、多くの方が被害に遭われました。犠牲となってしまわれた方のご冥福と、被災された方の一日も早い復興を心よりお祈りいたします。


この記事へのコメント

ほな

きれいな海です。

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