ここ日本では、東京オリンピック開催までいよいよ1年を切りました。テスト大会が行われたりチケットの抽選が話題になったりと、本番に向けての動きも活発になってきましたね。世界に目を向けると野球やテニスなど様々なスポーツイベントがありますが、その規模や存在感から“世界の3大スポーツイベント”と呼ばれる大会があるのをご存じですか?1つはオリンピック、2つめはサッカーW杯、3つめが自転車ロードレースのツール・ド・フランスです(以下、ツールと略)。自転車のレースって日本ではあまり注目されないから、ちょっと意外でしょ?
ツールはその名の通りフランスで開催され、約3週間で3,400kmほどを走る世界最大の自転車ロードレースです。規模の大きさゆえボランティアも数十万人が参加していると言われ、TV中継も180以上の国と地域で行われるビッグイベントです。日本ではJ-sportsが毎晩生中継し、さらに今年はライブ・ビューイングが出来るよう、渋谷にJ-sports特設のツールカフェまで出来ました。ツール初日にはここで応援イベントに参加したり、スポーツバーでビール片手に観戦したりと積極的に楽しんだ勢いもあって、今年のツールは可能な限り毎晩視聴しました。とはいえツールは約3週間、見るのもそれなりに耐久レースです。
もちろん選手達はもっともっと凄いです。3,400kmを走るって…距離が長過ぎてピンと来ません(笑) しかもスピードは40〜50km/h。標高2,000mを越える山岳ステージもあるし、その下りでは100km/hに及ぶことも!ほとんど車と変わりません。だから驚異的なスタミナと回復力、優れた走行技術と強いメンタルを持つ最高レベルの選手だけが走ることを許される大会です。欧州では自転車選手の社会的ステータスの高さもあり、ツールは出場するだけでも生涯の誇りとなる、とても名誉なことです。
レースはステージごとに1位でゴールした選手はステージ優勝、それ以外にも山岳賞やポイント賞などいくつかの表彰対象があります。でもとりわけ重要なのが“マイヨ・ジョーヌ”です。走った時間は日々累積され、各ステージが終わった時点で一番速い選手=暫定トップの選手は、特別な黄色いサイクルジャージ=マイヨ・ジョーヌを着用して走ります。そして最終ステージ、ゴールのパリ・シャンゼリゼにマイヨ・ジョーヌで到着した人が総合優勝者となります。
これを書いている今は、ちょうど今年の大会が終わったばかりですが、大変な歴史的偉業が成し遂げられました。100年を超える大会史上で、初めてコロンビア人が総合優勝したのです。そう、僕にとってはあのコーヒーの国コロンビアです!マイヨ・ジョーヌが南米大陸に渡ったこと自体が初めてであり、しかも驚くべきは、それを成し遂げたのが僅か22歳の若者だったことです。これは第一次大戦以降の近代ツールで最年少の記録です。日本で言えば大卒の新人がいきなりトップに立った訳で、ホントに驚異的なことです。
サイクルロードレースは欧州で発展し、選手層も欧州が圧倒的に厚く、アジアや南米出身者は相対的に少ない世界です。それにも関わらず、若きヒーローがコロンビアから誕生したことは、自転車ロードレースの世界がより深化したことを意味すると思います。パリの表彰式会場では大勢のコロンビア人が集まり、「おお、不滅の栄光よ!おお、不朽の喜びよ!」という歌詞で始まるコロンビア国歌の大合唱が湧き起こる、感動的なシーンがありました。僕の作る全てのブレンドコーヒーは、今コロンビアをベースとして使っています。もし今後「少し味が変わったかな?」なんてことがあったら、それは僕が感動のあまりコロンビア豆を増量しているからかもしれません(笑)
この記事へのコメント
ほな
興奮して走る選手の気持ちが少しわかります。
ほな
欧州で人気なのはわかる。
ほな
日本の競輪選手が出場してほしいです。
ほな
すごいスポーツがあるのですね。感心。