第95話 答えはいつも寄り添うように

  • 2020.01.13
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新しい年が始まって早くも半月が経とうとしていますが、皆さんはどんなスタートを切りましたか?僕の新年はほのぼのと穏やかに始まりました。以前はお正月に一年の目標を掲げたりもしましたが、近頃は特別な目標を立てなくなりました。なにしろここ数年は、年の初めには想像もしなかった様な出会いや出来事が起きるもので、明確な目標より新しい出来事に向き合う姿勢の方がずっと大事だったからです。でも今年は少し違います。何処へ向かって走るのか、ちょっとだけはっきりさせたいなと思ったのでした。
コーヒーを淹れること、そのものが考える時間の始まりです。
でも唐突に考えたところで、すぐにいい文言が浮かぶ訳でもありません。考えを巡らすうち、昨年の出会いや出来事の中から、印象深かったことをアレコレと思い出していました。実は最近の僕は、コーヒーに対する向き合い方に迷い、理念を形にするための次の一手が見えなくて、ずっとモヤモヤしていました。その理念とは『上質なコーヒーがもたらす、豊かなひととき』というものです。でもその迷いの答えは、昨年末のある印象的な出来事にヒントがあると気付いたのでした。
ボタニックグリーンは高尾の自然の中から生まれます。これは草木染めワークショップの一コマ。
それはつい先月のこと。オリジナルの洋服づくりをしている知り合いから、「年末のサンプルセールイベントを行うので、来場者にコーヒーを淹れてくれないか?」と頼まれたのです。彼らが営むブランドBotanic Green/ボタニックグリーンは、コットンやリネンなどの天然繊維に独自の草木染めを施して作られる、アーシーでオーガニック、そして独特の感性でデザインされた服飾ブランドです。東京・高尾の制作拠点と、原宿のキャットストリートにある活動拠点を行き来しながら、ピースフルな世界観を発信し続けています。
ボタニックグリーンのお二人。餅つきも仲良く♪
彼らを慕って、いつも多くの仲間が集まります。
今回の会場はワンルームほどの小さなスペースで、壁沿いに彼らの作品である様々な洋服が陳列されていました。更にその片隅に小さなテーブルがあり、そこにささやかなコーヒーコーナーを設けました。こんな時、用意するコーヒーは普段ならブレンド系です。ブレンドの味わいが持つ奥行きや拡がりは、多くの人に美味しいと感じてもらいやすいからです。それを1種類、規模によっては2種類用意します。でも今回はミニマムな場であるにも関わらず、シングルのコーヒー豆を2種類用意しました。それはBotanic Greenの場だからこその、僕なりのメッセージでした。
ボタニックの作品を試着。このエプロンはその後自分の結婚披露宴で着用。最近カフェ営業時に着ることも。
用意した豆は、東ティモールとマンデリンです。東ティモールは東南アジアにある小国で、長らく隣国からの占領、弾圧により30年近く支配されていましたが、21世紀に入って独立した若い国です。(詳しくは以前にこのコラムでも取り上げましたので、良かったらご覧ください。)そしてその支配者というのが、実はマンデリンを生産している国、インドネシアなのです。かつて侵略をした国とされた国。その両国のコーヒーが一緒に並び、自由に味わいの違いを楽しめるというセッティングは、まさに平和の象徴そのものであり、ピースフルな場とそこに集う人々に表現したかったことなのです。
結局自分を信じてやっていくのみですね!精進します。
僕は単にスペシャルティコーヒーを味わうのとは違う「何か」が僕の成すべきことだと感じてきました。その「何か」とは、僕自身が考える様々な事柄を、コーヒーを通して表現することなのではないだろうか?それは例えば「平和」や「環境」やその他の多くの問題提起であったり、また時には「人の心の機微」や「幸せ」といった内省的なことであったり。良く考えたらこのコラムを書くことも既にその一環であり、もう既にやっている事だと言えるのですが。今回の出来事は、そんな自分の進むべき方向に気付かされるきっかけとなりました。コーヒーとの関係性を、より自分らしく深めていく一年でありたい。そんなことを思う新年でした。


この記事へのコメント


ぽんで

一年一年目標を持っていきたいです


ほな

目標が多いのはうらやましい。


ほな

奥様がうれしそうです。


ほな

奥様可愛い。


ほな

勉強になりました。


コーヒーブレイク

どこへ走ろうとしているか、はっきりさせる。大切なことですね。私も考えていきたいと思いました。

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