第111話 落ちてたまるか

  • 2020.09.15
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毎度恐縮ですが今回も自転車の話です。というのも、今年のツールドフランスが“なんとか”始まったからです。いつもならスタートは7月の初め。そこから23日間(内2日間は休息日)もかけてフランス各地を走り抜け、最後はパリのシャンゼリゼでゴールとなる一大イベントです。期間中の7月14日には革命記念日も迎えるし、フランス人が日本人よりも長い夏のバケーションを取る季節とも重なります。つまりフランス人にとって、ツールは夏の風物詩とも言えるのです。
奥さんが、ツールドフランス仕様のミニチュアを買ってくれました。店内に飾ってあります。
ところが今年はコロナ禍の影響で延期となり、8月29日にスタートしました。つまり大会期間がほぼ9月中となる訳で、例えるならそれは夏の盆踊り大会やプールのオープンを10月の平日にやるような感じでしょうか。また感染予防の措置として観客を大幅に制限するのは勿論、開会関係者や選手にも様々な厳しい制約が課せられています。関わる全ての人にとって負担の大きい特殊な状況ですが、世界的にコロナの影響がある中で、チームも選手も様々な国から集まってくるようなイベントが開催されたことは、それ自体が奇跡だと思います。
ツールには日々のステージ優勝以外に賞が4つあり、前日までの暫定トップがその賞ごとの特別なジャージを着て走ります。
スタート地点は毎年変わるのですが、今年は南仏のニースでした。本来なら晴れやかなリゾートですが、今回はレース中に雨が降りました。そのせいでホコリや砂が浮き上がり、路面をまるでスケートリンクのように変えてしまいました。バイクコントロールに優れたはずの世界トップクラスの選手達が、何でもないところで次々と転倒、クラッシュしていきます。初日だと言うのにケガでリタイヤを余儀なくされた選手まで現れました。結局その日のステージは、ゴールまでに半数以上の選手が『落車』してしまいました。
プロの速度域では空気抵抗の影響が強く、風避けとして前走の後ろに入ります。横風が強い場所ではこんな風に斜めになることも。
落車…変な言葉ですね。初めて聞いた時は、正直言うとちょっとダサい感じがしちゃって。今もですけど(笑) 自転車ロードバイクで転倒することを落車(らくしゃ)と言います。これはどうも競輪に由来する表現のようで、公式用語らしいです。更に言うなら公営ギャンブル固有の言い回しと言えるかもしれません。競馬で騎手が馬から落ちることを落馬って言いますよね。競艇も落水と言うし。僕はギャンブルをやらないので、詳しくは分かりませんが。でも人生充分にギャンブルみたいなもんですかね。コロナ騒ぎの時に飲食店をオープンしたりとか(笑) おっと、話が落車しましたね。
ウチではPCでオンデマンド放送を見ています。それをTVに繋ぐので、結果無意味に2画面(笑)
今大会では定期的なPCR検査が実施されるのですけど、選手・スタッフ問わずチーム内から陽性者が2名出た時点で「そのチームは大会を去らなければならない」というルールが課せられました。どうやら仏政府からの強い要請のようです。先日レース休息日に行われた検査では、4つのチームのスタッフから1名ずつ陽性者が出てしまいました。幸い選手は全員陰性だったことと、濃厚接触者がいないと確認されたことからレースは続行されています。今後その4チームの選手は、他のチームや選手と戦うだけでなく、コロナ感染による強制退場のリスクとも戦わなければなりません。
その日のステージ優勝の表彰式。インタビュー含め、マスク着用は必須です。
100年以上続く、歴史ある大会です。敢えてこういう言い方をしますが、“遠く”日本から見ると欧州中心の(それも白人中心の)マイナーな大会でありスポーツです。でも2度の大戦やその他の危機を乗り越えて、今日まで受け継がれてきました。それは人々を惹き付け、熱狂させる大きな魅力があるからに他ならず、その根底には自転車という乗り物が持つ「自分の力で風を切って走る爽快感」があるからだと思います。おかしな流行り病でも“落車”することなく、今年のツールも無事にシャンゼリゼへと辿り着いて欲しいです。
皆んなが無事にパリに辿り着いて欲しいです!


この記事へのコメント


ほな

カラフルな帽子が良いです。


タカトモケイ

コロナ対策をしっかりして継続してほしいです。


ほな

人形が良くできています。


ほな

フランスのお祭りです。

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