第127話 開業1周年を迎えて

  • 2021.05.20
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5月14日、僕の営むコーヒー屋「デイドリップコーヒー」は晴れて開業1周年を迎えることが出来ました。実はこれを書いているのはまだ記念日を迎える直前なので、実際その日をどんな感じで過ごしているのか分かりませんが、いつものようにコーヒーをドリップする一日を過ごしていることでしょう。今回は一つの区切りということで、店にまつわるこれまでのことを幾つかのキーワードで振り返ってみたいと思います。まあ、個人の1年なり何なりを振り返る話なんて、当人以外は面白くも何ともないかもしれませんが…。
お店らしくなってきた店内。思い入れのあるモノもたくさんあります。今回はそんな物をご紹介。
心境
自分の店を持ったのは初めてなので、季節が一巡りするこの1年間は毎日が初めての連続でした。しかも始まりから“コロナ禍”という極めて特異な環境です。普通ならこんな訳の分からない状況は不安でいっぱいになりますが、幸い僕は普通じゃないのか(笑)、落ち込むことはあっても不安になることは少なかったと思います。コロナ禍で日常を変化させなければならなくなった人が多かった一年ですが、一足先にこちらから変化を仕掛けていたことが自分の勇気や自信になったかもしれません。たまたまですけど。
静岡は沼津の友人、椿夫妻から頂いた椿…じゃなくてコーヒーの木。少しずつ大きくなってきたよ。ありがとう♪
誰かにとっての居場所
最近は事あるごとに言っているセリフですが、この店がお客様にとって『もう一つのリビングルーム』になってくれたら良いなと思っています。子供からご年配の常連さんまで様々なお客様がご来店しますが、その一人ひとりにとってただ居心地が良いだけではなく、糧となるような何かがある場所でありたいと思っています。そしてちょっと欲張ったことを言ってしまうと、その一人ひとりが一人ぼっちじゃなくなる居場所になれたら素敵だよなと思います。同じ街に暮らす人々同士が知り合うきっかけって、決して多くはないんですよねぇ。それって勿体ない気がして。
サイクリングチームのメンバー、ナオミさんから数年前に頂いた彼女のお父さんの自転車フレーム。競輪選手として実戦で使われてた物。いつか店を持ったら飾ろうと保管していたのだ。彼女はこの事をまだ知らない。
思い出した10年前の宣言
2011年の春、僕はカフェ開業を目指すため20年余り勤めていた会社を退職し、キャリアの外側へと飛び出していきました。その時僕はこんなことを口走っていました。「今から始まる10年は自分の為に生きよう。その次の10年は自分以外の何かの為に過ごしてみよう。」と。実際、2020年に店をオープンした時はひたすら自分の為に作った自分の居場所だったのです。でも今は誰かにとっての居場所を考えている…。意識してきた訳じゃないけれど、10年前の宣言通りになったことを少し不思議に、そしてちょっぴり誇らしくも思います。
友人で画家の西山タカスケが描いた版画。彼は第88話にも登場するので、良かったら読んでね♪
“嬉しい”は人の間にある
既に1周年を目前に嬉しいことが沢山あって、それらは全て人がもたらしてくれたものです。例えば沖縄の知り合いが仕事の合間を縫って突然来店してくれたこと。10年前に僕が飛び出すきっかけを与えてくれた張本人です。それで10年前の宣言も思い出したんですけど。他にも、結婚を機にこの街を離れていくお客様へのささやかなお祝いをとても喜んでもらえたことや、コロナ病棟で看護師をしているお客様がコーヒーをテイクアウトするためにわざわざ自費でPCR検査を受け陰性確認してまで買いに来てくれたことなど、書ききれないくらいです。
ウチの奥さんが子供の頃作った紙粘土の作品。口が開いていたり、滴が垂れている所が魅力。本人の承諾ナシに掲載。ごめん、だってお気に入りなんだもん♪
リアルを信じる
月並みなセリフで恐縮なのですけど、今日を無事に迎えることが出来たのは今まで応援してくれた皆さん一人ひとりのおかげです。たくさんの人に支えられ助けて頂いたからこそ、この日を迎えられたのだと強く実感しています。オープンした日も一年後の今もナンチャラ宣言下というシャレにならない状況で、世の中はリモートでのコミュニケーションも増えました。でも僕の仕事は味や香り、そして笑顔や温もりの空気感を直に伝える世界、どこまで行ってもリアルです。リアルなコミュニケーションが持つ力をこれからも信じて、大切にしてゆきたいと思います。
店内に物販コーナー作りまして。第1弾は1周年記念企画としてウチの奥さんのコレクションを大放出する『ちっちゃな蚤の市』。今後も様々なミニ企画を開催のつもり。
後日談
前回の話で誕生日に娘のSちゃんに店に連れてこられたお母さんから、後日感謝のお手紙を頂きました!そこで知ったのですが、Sちゃんは僕と初めて言葉を交わした日、お母さんに「今日友達が出来たんだ」と言ったそうです。これには大変驚き、またとても嬉しかったです。なぜなら子供達と話す時はいつも「友達になれたら良いなー」と思っていたからです(ドン引きされそうだから言わないけどさ)。もっともお母さんは、“新しい友達”が学校でも学童でもない所で出会った大人の男性だと知った時は、動揺を必死で抑えたそうです。友達付き合いを認めてもらえて有り難いかぎりです(笑)


この記事へのコメント


ルミネ

紙粘土の作品癒やされますね!


だあきち

奥さまの紙粘土、センスいいですね~!


コーヒーブレイク

奥さんの作品、とても素敵です!


ほな

こだわり物が多くて楽しいお店です。

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