第137話 それは風のようなもの

  • 2021.10.07
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どちらかというとお話好きな僕。店でも普段から様々なお客様との会話を楽しんでいます。会話の多くはやはりコーヒーのことで、皆さんの関心や知識などに合わせて、より興味を持ってもらえるように話すことを心掛けています。それ以外はつい自転車とか音楽の話題が多くなってしまいますね。自分の得意なネタが先行しがちで、ちょっと反省したり…。でも時にはお客様の恋愛相談や、その人の生き様に触れるような会話をすることもあります。
先日もお客様といつものように世間話を楽しんでいたら、ふいに話題が“運”の話になりました。そのお客様はシンガーソングライターで、ボイストレーナーとしても活躍されている人なのですが、お仕事を通じてなのか…どこかで見聞きした話として、こんな事を話してくれたのでした。それは“結果を出すために必要なことは3つあって、それは努力と天分と運。でもその割合は努力2割、天分1割に対し、7割を占めるのが運である”と。ここで言う天分とは才能と言い換えても良いと思いますが、天から与えられたものというニュアンスを含むかと思います。
この7:2:1の話を聞いて、一つ思い出したことがあります。コーヒーの世界では、ハンドドリップの味わいは3つの要素~淹れ方1割・豆の焙煎の仕方2割・元になる生豆の味わい7割で出来ているというものです。どんなに一所懸命ドリップしても、淹れ方が味わいへ与える影響度は10%程度。20%が焙煎の良し悪しで、残り70%が農産物としてのコーヒー生豆の良し悪し、つまり素材の良し悪しというものです。「えっ!淹れ方が10%だけ!?黒田さん、ドリップセミナーで淹れ方の話を熱く語っているのに!」って声が聞こえてきそう…(苦笑)
この話、ちょっと視点を変えて見てみるとこんな風に言えませんか?皆さん(一般の消費者)にとって、淹れ方と焙煎屋さん選びは自分でどうにか出来ること、自分の手の内にあるものです。でも生豆の良し悪しまでは簡単に手の届かない範囲ですよね。先の“運”の話はどうでしょう?天分は備わっているモノ、努力も自分次第。つまりどちらも自分の手の内にあるものです。でも運だけは自分じゃどうしようもない、手の届かない範囲の話です。そう考えると、この比率とそこに込められた(秘められた?)意味が何か似ているように思いませんか?
シンプルに考えるなら、物事の結果は「自分に手の届くこと3割、届かないこと7割」で出来ていると表しています。この比率もモノサシで測ったものじゃないので、僕の感覚では3:7から2:8の間に収まる印象です。これも根拠はありませんけどね。重要なのは「手の届くことの影響が2~3割を占める」っていう所をどう受け止めるかだと思います。別のお客様ですが、会社を興し一代で成長させたご年配の方がいらっしゃいます。その方にある時「仕事で成功するために一番重要なことは何でしたか?」と尋ねたことがあります。彼は、若い人には聞かせられない話だけどと一言添えた上でこう言いました。「それは運です。」と。でも続けて「努力したからといって成功する訳じゃないけれど、成功した人は皆努力しています。」とも。
自分に出来ることの影響度がわずか2~3割かもしれないけれど、それがなければ結果は出ないのだから頑張るのは必須なんですね。その上でちょうどグッドタイミングに“イイモノ”がやって来たら、最高の結果が訪れる。逆に万一結果が出なかったとしても、自分のせいだと落ち込むのは2~3割で充分ですよね。こういうの、「人事を尽くして天命を待つ」なんて言うのかな。結局ガッツリ頑張りましょうってことですか…ふ~っ。でもホンネでは手の届かない7~8割の方も何とかならないかなぁって思いますよね。実はそんな方法もなくはないと思うのですが、そんな胡散臭い話の続きはぜひ当店で(笑)。お喋り好きのマスターが皆さまのご来店を心よりお待ち申しておりますデスヨ♪


この記事へのコメント


*

美味しいコーヒーとお話 伺いたくなりました♪


ほな

豆次第は参考です。


ゆーだいすきかあさん

お話し伺いたいです


だあきち

淹れ方が10%だったら、いい豆を買ってくれば自分でも・・・!!って思っちゃいました。

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