第147話 給湯器クライシス

それはある朝の事。シャワーを浴びようと浴室の水栓レバーをひねると、見たことのないエラー表示が出て水しか出てきませんでした。なんと真冬のこの季節に給湯器が壊れたのです。衝撃的な一日の始まりです。我が家は賃貸マンションなので、すぐに管理会社へ連絡を入れると、一旦折り返しの連絡待ちとなりました。と、その時ふと思いました。室内は散らかってひどい有り様なのに、修理屋さんが来たら部屋中見られてしまうじゃないか！って。今度は怒涛の大掃除大会が始まりました。しばらくして管理会社から電話が入ると「今日は保守サービス会社がお休みなので、明日連絡させます。」との事…。あわわw

となると、次にすべきは自分の身支度。寝汗まみれなコーヒー屋の店主ではシャレになりません。うちの近所には銭湯が結構あるのですけど、どこも開店時刻前でした。幸い一軒だけ温泉施設が開いている事が分かり、早速向かいました。気になっていた施設ですが、入るのは初めてです。利用の仕方に戸惑いつつ浴室へ入って…おぉ！湯船のお湯が黒い！コーヒー風呂⁉︎いえ、東京で温泉を掘ると、黒いお湯が湧くのですね。「牛乳入れたらカフェオレだな…」なんて思いつつ急いで入浴を済ませ、ようやくお店へと向かいました。その日は開店時刻が１時間遅れとなってしまいました。ちなみに夜は隣町の銭湯に初訪問。風呂上がりはコーヒー牛乳飲んじゃいました。フフフw

翌日、修理屋さんは午後イチで来てくれることになりました。午前中は予定していたコーヒーセミナーがあったので、一旦閉店して自宅に戻り、修理屋さんを迎えました。そこで二つの事が発覚しました。一つは機種が古過ぎて修理不可だという事。そのため新品に交換と判断されました。でも現在はコロナの影響で半導体不足のため、給湯器の入手は非常に困難になっています。数週間は覚悟かなぁと思っていたのですが、その日の夕方には管理会社から連絡があり、給湯器が手配出来たそうで3日後には交換することになりました。後で分かったのですが、修理屋さんも驚きの早さだったそうです。

もう一つ発覚したのは、故障した給湯器は「給湯」と「追い焚き」の２系統で出来ていて、壊れたのは「給湯」の方。つまり追い焚き機能は生きていたという事です！追い焚きで沸かしたお風呂に入れることが分かったため、銭湯生活はわずか一日で終了しました。でも給湯が使えないので、食器などの洗い物を水で行わなければなりません。夏ならまだしも真冬のこの時期。ほぼ滝行です。いくら心頭滅却しても冷たいものは冷たい！お湯を張ったボウルを用意して、手を温めながら洗い物をしました。そしてアラフィフのアカギレは治りが悪いことも痛感しましたよ。

3日後、給湯器は新品交換され、無事に終了…するかと思いきや、なんとまたもやエラー！今度は追い焚き系の不具合です。逆に給湯はOKなので滝行は卒業しましたが…。後日、基盤の交換で治りましたが、基盤の在庫があってラッキーでした。というか、ここまで来るとツイテるんだかいないんだか、もうよく分からない話で笑。まあ工業製品はどうしても一定の比率で不良が発生します。限りなくゼロに近付けられるとしてもです。それだけに大切なのはエラー時の対応ですよね。僕も製造者という意味では、エラーを生んでしまう事があります。ただ、たとえエラーを生んでしまっても、対応の過ちは犯さぬようにしなきゃなって、二月の滝に打たれながら、薄らいでいく意識の中で思った訳です。