ちょっと唐突な話なのですが、最近僕の店でお米の販売を始めました。コーヒー屋なのに?と驚かれるかもしれませんね。販売といっても「お試し米」と呼んでいる小さなパックで、2合入りの試食サイズです。もしもお気に召して頂けたなら、ご注文は新潟県魚沼の「工房茶助(こうぼうちゃずけ)」にどうぞ。実はこのお米、高校時代の同級生である市井くん(通称いっちー)が、若かりし頃に新潟県魚沼の山奥にIターン移住し、今や立派な米農家として作っているコシヒカリなのです。今回はそんな彼のビックリな半生と、彼の作るお米についてのお話を。
市井くんは学生時代に環境破壊や国際問題などさまざまな社会問題に触れた経験から、28歳の頃「第1次産業こそ目指すべきだ!」と一念発起。縁あって新潟県魚沼市の守門という地域にIターンで移住することにしました。当時は東京渋谷区に実家のある6歳下の女性とお付き合いしていたそうですが、その女性は市井くんの移住決断を聞き、大学卒業間近で就職も決まっていたのを断り、なんと結婚して一緒について行ったのでした。それが現在の奥様。いやあ、もう最初からアツい展開です。
若さゆえ資金も何もないままの移住でしたが、地域の人々に助けてもらいながら農家としてスタートを切りました。驚くことに最初は手植え・手刈りからの米作りでしたが、その後少しずつ機械化も進み、田んぼの面積も収穫量も増えていきました。圧巻は自分で家を建てたことです。冬は積雪4mに及ぶ豪雪地帯ですが、そこに基礎工事など一部は業者に頼んだものの、2階建ての一軒家を数年かけて自力で作ったのです。彼らはゼロから始めて地域に溶け込み、何でも自力でこなす生活力を発揮。そして豊かな自然に囲まれた“我が家”で、3人の子供を育て上げ、昨年は遂に初孫が誕生したのでした。
真っ正直で努力家、そして研究熱心な彼の人柄は、コメ作りにも現れています。必要最小限の低農薬なのは彼のこだわり。有機肥料の研究もさまざまな形で行い、味わいの向上を目指しています。中山間部に位置するため田んぼの管理は大変ですが、昼夜の寒暖差と良質な水によって甘みが生まれます。そして収穫したお米は雪むろ貯蔵!一定の温度湿度が保たれ味が落ちません。そんな努力の成果は、魚沼の米農家が競う「第2回 米食味コンテスト2023 in魚沼」で優秀金賞受賞に繋がりました。
僕はコーヒー豆を焼いたり淹れたりする仕事ですが、その原材料の生豆がなくては何も出来ません。様々な努力によって良質な生豆を育てる農家さんがいるから、コーヒーを美味しく頂ける…という事実を痛いほど感じています。それだけに市井くんの作ったお米を食べると、コーヒーと同じように米農家さんの努力や志しがビンビン伝わってくる気がするのです。扱うものこそ違うけれど、ささやかながら食に関わる者として、彼のような友達がいることは誇らしく、彼のお米の価値や意味もコーヒーと同じくらい多くの人に知ってもらえたら…と思って始めたお米の販売なのでした。
この記事へのコメント
ビビコン
雪むろ貯蔵のお米、食べてみたいです。
はる326
おこめ大事に食べます。
hirune
楽しくできる環境もあるといい生活ですね
江戸っ子
お米の生産者の方がシャトルシェフでお米を炊いていらっしゃるのならば、我が家もやってみたくなりました。
雪深い地域での農業は大変でしょうが、その分 おいしいお米ができるのは、ご褒美ですね♪
コレステロール
頑張って下さい。
みみたろう
シャトルシェフでお米を炊くのもいいですね!
マチルダ
ご自分で家を建てられたのには驚きました!お米、美味しそうです。
ポンちゃん
米作りの後継者に若い方がいるのは心強いです!
かぐや姫
お米は日本人の原点だと思う
でもお値段も良いですね
でも普段使いには敷居が高いような
機会があれば一度お味見だけでもしたいものです
アイス
人が育てるお米のストーリー素適ですね。
おこめ
素敵です
スッチー
良いです。
ほな
元気なお米を期待します。
ぽんで
いいお米が期待できそうですね。
コーヒーブレイク
すごい!自分ではなかなかできません。せめて、支援したいです。