第29話 ミルを選ぶ(後編)

  • 2017.03.27
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今回はミルのお話し後編、電動ミルについて。(前編はこちらをクリック)
手動式のミルと比べ、電動ミルは手早くラクに挽けるのがメリットです。でも性能面では機種による差が大きいものでもあります。差が生まれるポイント、それは刃の構造=挽く方式の違いにあります。
例えば手動式の場合、その大半はコニカル式と呼ばれる方式が使われています。ハンドルを回すとシャフトの先にある回転歯が回り、ボディに付いている固定歯との間で豆は挽かれていくのですが、その回転歯がコニカル=円錐形、つまり末広がりの山型になっている事からそう呼ばれます。用いる方式が共通なら性能面でも機種による違いは少ない、という訳です。
一方の電動式。これはざっくり言うとプロペラ式とウス式に分かれます。
プロペラ式はその名の通り、回転するブレードに豆が当たって砕けていく方式です。ゴマを挽くミルサーとほぼ同じ造りです。造りが単純なので、価格が安くコンパクトなものが一般的です。
ウス式は溝が付いた2枚の板の間で、豆がすり潰されたり切り刻まれたりして挽かれていく方式です。厳密には、溝が刃状だったり突起状だったりと分かれるのですが、ここでは「臼」の構造として一まとめに括っています。一度にたくさん挽くのも得意ですが、プロペラ式より大型になり価格も高めです。
そしてこの方式の違いはサイズや価格以上に、性能面でびっくりするほど大きな差を生むものでもあります。
ところで先ほどから言っている「性能面」とは何なのでしょう?
コーヒーミルに求められる基本性能、究極的にそれは2点だけだと僕は考えています。
ひとつは、「挽いた粒の大きさが揃っている事」
「メッシュの均一性」なんて言ったりします。粒の大きさの事を粒度なんて言うこともあります。なんか専門用語っぽいですね。機会あったら使ってください。「おっ、この人コーヒー通かも?」って思わせる先制攻撃に一役買いますので(笑)

もうひとつは、「パウダー状の余分な粉が出にくい事」
「微粉が発生しにくい」なんて表現します。またまた来ましたツウな表現!(笑)
この二つはコーヒーの味わいに大変大きな影響を及ぼします。粒の大きさが揃っていないと、粒ごとの味の出方がバラバラになるので、輪郭のぼやけたものになります。また微粉からはエグ味や雑味が出やすく、味わいを損ねるものです。そんな性能面でいうと、プロペラ式は粒度を揃えるのが大変難しく、微粉が出やすい方式。ウス式は粒度が比較的均一で、微粉も出にくい方式。手動式はというと、粒度はそれなりに均一で、微粉も出にくいものと言えます。まあ、ざっくりですが。
もしあなたが電動ミルにコーヒーの味わいを求めるなら、オススメは圧倒的にウス式であり、その価格以上の価値や感動すら憶える選択です。プロペラ式のメリットは、低コストで省スペース。とにかく手軽に挽き立てのコーヒーを味わいたい!という場合にはベストな選択枝となりますが、同じコストなら手動式の方が美味しいです。

コーヒーのある暮らしに何を求めるかで決まると思います。あなたに最適なミルが見つかって、美味しいコーヒーのあるひとときが訪れますよう、心から願っています。


この記事へのコメント

ほな

ミルは応接の飾りにもなります。

*

小林さん>いつもご来店ありがとうございます!ミルの話、豆の話、何なりと(笑)

黒田悟志

*

ぽぽしゅうさん>いつもコメントありがとうございます!美味しいコーヒー、是非ハマってくださいませ!

黒田悟志

tomo21

豊洲の小林です!娘と一緒にミルのお話しを聞かせていただける日を楽しみにしてます!

*

美味しい珈琲を求めたいなら いろいろと奥が深いんですね。素晴らしい‼

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