第35話 島人(シマンチュ)~前編

  • 2017.06.26
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もう1ヶ月以上前のことですが、5月中旬に大好きな石垣島を訪れました。披露宴の翌日から新婚旅行のつもりで出掛けたのですが、結果的には人々の生き様というかいろいろな人生模様を垣間見る、まるで研修旅行のような濃厚な時間でした。
季節はちょうど梅雨入り直後。到着した時は少し雨が降っていましたが、レンタカーで走り始めるとすぐに陽が差したりして、いわゆる梅雨のシトシト降り続く感じではありません。僕らはホテルへ直行せず、周辺の島々へ渡る船が発着する拠点「離島ターミナル」へと向かいました。目的はターミナル内の観光会社に勤める友人Oさんに会う為です。
Oさんとその奥様とは数年前から友人として親しくお付き合いしていて、僕が石垣島を訪れたくなる理由の一つです。今回もいつもの笑顔で出迎えてくれ、積もる話につい長居してしまいました。Oさんは勤務中ですからお詫びして帰らなきゃと思っていると、社長やスタッフの方を紹介したい、とのこと。わざわざ申し訳ないなと思う間もなくスタッフさんがぞろぞろ現れると、突然僕らはレイを掛けられ、「結婚おめでとう」の写真入りパネルが登場!(笑) 全く予期してなかったサプライズです!Oさんとはプライベートなお付き合いなのに、社長を始めスタッフ皆さんで歓迎して頂き、本当に嬉しかったです!ありがとうございました!
翌日はかなりレアな場所を巡る一日。川平湾や竹富島など名所はいろいろありますが、今回は「観光」よりも、石垣島のヒトやモノやコトにより深く迫ってみました。

Oさんに教えてもらった石垣市立八重山博物館で、サバニ船やミンサー織物を見ては昔の島の暮らしに想いを馳せてみたり、郵便局で泡盛デザインの記念切手を見つけては萌えてみたり。そして何より具志堅用高記念館!若い人には面白い芸能人と思われているようだけど、世界タイトルを13回も防衛した天才ボクサー。偉人と言ってもいい。その記録は国内最長で、あれから37年経つ現在でも未だに破られていません。リングシューズやグローブの実物。サンドバッグ。トロフィーやベルトの数々。才能を努力で開花させ、まっすぐに挑み続けた半生が、そこには静かに飾られていました。
その晩はOさん夫妻と刺身の旨い店で一献傾けました。酒が進む中で、僕は前日の訪問時には聞けなかった事を伺いました。それは社長交代の事。実はOさんは4月までその観光会社の社長でした。しかし会社の未来と繁栄を想い、大胆な改革に着手した結果、会社の舵取りさえも若手に譲ったのでした。「改革」はいつだって様々な困難や痛みを伴います。でもご夫婦で真摯に向き合ってきた様子がひしひしと伝わってきて、僕はひたすら感銘を受けるばかりでした。

お二人の表情は晴れやかであり、また穏やかでもありました。比べることではないけれど、具志堅用高さんにも同じような晴れやかさや穏やかさを感じます。きっとそれは「正直にまっすぐに」取り組んできた人が醸し出す雰囲気なのかもしれません。
今回の旅行では、この「自分に正直に、まっすぐに生きる」生き方を実践してきた人達に、何故かたびたび出逢うことになります。 次回 は石垣島の「地」で生きる人々のお話しを。


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