アレサ・フランクリンをご存知ですか?
これまでグラミー賞を何度も受賞し、女性で初めて「ロックの殿堂入り」も果たした、アメリカの黒人女性歌手、ソウル界の女王です。彼女の代表曲のひとつ「Think」が歌われたのは、今から半世紀ほども前の事です。 だからこのコラムを読んでくれている読者の中には、ご存じない方も多いかもしれませんね。 もちろん僕も当時のことを詳しくは知りません。 僕が彼女を知ったのはいつだったか憶えていませんが、彼女を語るとき真っ先に浮かぶのはやはりコレ、1980年に作られた映画「ブルースブラザース」の出演シーン!
劇場ではなくTVで観たのですが(汗)、それでも印象と言えばこの一言、「か…かっこいい!!」
映画では古びたソウルフードカフェのウェイトレス役です。
ブルースブラザース(以降、BBと略)の二人が、店のコックで夫役のマット・マーフィーをバンドに連れ戻すため店にやって来たところで、注文を取りに彼女が登場します。 この時BBの注文の仕方がクールでシビれるんだけどその話は置いといて、BBの誘いを受けバンドに戻ろうと思うマットに対し、「よく考えて!」と「Think」を歌い上げます。 高らかに、そしてパワフルに。
『 Oh, freedom (freedom), freedom (freedom), Oh, freedom, yeah, freedom 』※
(おぉ、自由!自由よ!あぁ自由!そう、自由よ! / 訳 黒田)
それは観ている者の魂を揺さぶる、まさにソウルフルな歌いっぷりで、非常に感銘を受ける印象的なシーンでした。
その彼女がつい先日、闘病の末に76歳の生涯を閉じました。 バラク・オバマ元大統領をはじめ、多くの著名なミュージシャンが追悼の言葉を発信しました。 彼女の死を受けて、僕は久しぶりにThinkを聴きたくなり、サントラ盤を引っ張り出しました。 スピーカーから見事なグルーヴと力強い歌声が蘇ります。
…ただここで、ふと妙なことに気付きました。
この場面は店と自分を捨てて旅暮らしに戻ろうとする夫に、考え直すよう仕向けているシーンです。
でもその歌詞はなぜか「自由!自由!」。
歌い上げるアレサも、自由の素晴らしさや尊さを全身で表現しているようにみえます。
好き勝手に自由な道を歩もうとする夫を止めなきゃいけないはずなのに、なんだか矛盾していますよね。
これは一体どういうことなのでしょう…?曲を聴き込むうち、後から出てくる歌詞にそのヒントが隠されているのではなかろうか、と思いました。
『 You need me (need me) And I need you (don't you know) Without each other there ain't nothing people can do 』※
(あなたに私が必要で、私にあなたが必要で、お互いがいなけりゃ何も出来ないでしょ! / 訳 黒田)
男も女も単独では存在し得ません。片方だけでは命は生まれない“不完全”。
お互いが手を取り合いパートナーシップが生まれて、初めて僕らはスタートラインに立てる、つまりそこでようやく本来持ち合わせている自由が生まれる…。 彼女の歌い上げる「自由」とは当時の男と女の本質を突くもので、そんな関係性や在り方を示していると思うのです。 またこの曲が歌われた1968年のアメリカは女性解放運動、更には公民権運動まっただ中。彼女はアフリカ系黒人の女性でしたから、性差だけでなく人種の問題についても問う“Think”だった訳です。
でもそこから50年経った日本では、未だ職業の選択はおろか大学進学の機会も女性から奪い、住む場所によって判定が変わるスポーツさえあります。あと数ヶ月で平成も終わります。チャンスは誰に対しても公平に与えられ、能力のある者が少しでもその力を発揮出来る、そんな時代が訪れますよう願ってやみません。
※ 曲名 / Think 作詞 / Aretha Franklin & Ted White
これまでグラミー賞を何度も受賞し、女性で初めて「ロックの殿堂入り」も果たした、アメリカの黒人女性歌手、ソウル界の女王です。彼女の代表曲のひとつ「Think」が歌われたのは、今から半世紀ほども前の事です。 だからこのコラムを読んでくれている読者の中には、ご存じない方も多いかもしれませんね。 もちろん僕も当時のことを詳しくは知りません。 僕が彼女を知ったのはいつだったか憶えていませんが、彼女を語るとき真っ先に浮かぶのはやはりコレ、1980年に作られた映画「ブルースブラザース」の出演シーン!
劇場ではなくTVで観たのですが(汗)、それでも印象と言えばこの一言、「か…かっこいい!!」
BillboardのR&Bアルバムチャートで初の1位となり、収録曲の『リスペクト』は公民権運動やフェミニスト運動の賛歌となった。
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映画では古びたソウルフードカフェのウェイトレス役です。
ブルースブラザース(以降、BBと略)の二人が、店のコックで夫役のマット・マーフィーをバンドに連れ戻すため店にやって来たところで、注文を取りに彼女が登場します。 この時BBの注文の仕方がクールでシビれるんだけどその話は置いといて、BBの誘いを受けバンドに戻ろうと思うマットに対し、「よく考えて!」と「Think」を歌い上げます。 高らかに、そしてパワフルに。
『 Oh, freedom (freedom), freedom (freedom), Oh, freedom, yeah, freedom 』※
(おぉ、自由!自由よ!あぁ自由!そう、自由よ! / 訳 黒田)
それは観ている者の魂を揺さぶる、まさにソウルフルな歌いっぷりで、非常に感銘を受ける印象的なシーンでした。
その彼女がつい先日、闘病の末に76歳の生涯を閉じました。 バラク・オバマ元大統領をはじめ、多くの著名なミュージシャンが追悼の言葉を発信しました。 彼女の死を受けて、僕は久しぶりにThinkを聴きたくなり、サントラ盤を引っ張り出しました。 スピーカーから見事なグルーヴと力強い歌声が蘇ります。
…ただここで、ふと妙なことに気付きました。
この場面は店と自分を捨てて旅暮らしに戻ろうとする夫に、考え直すよう仕向けているシーンです。
でもその歌詞はなぜか「自由!自由!」。
歌い上げるアレサも、自由の素晴らしさや尊さを全身で表現しているようにみえます。
好き勝手に自由な道を歩もうとする夫を止めなきゃいけないはずなのに、なんだか矛盾していますよね。
これは一体どういうことなのでしょう…?曲を聴き込むうち、後から出てくる歌詞にそのヒントが隠されているのではなかろうか、と思いました。
『 You need me (need me) And I need you (don't you know) Without each other there ain't nothing people can do 』※
(あなたに私が必要で、私にあなたが必要で、お互いがいなけりゃ何も出来ないでしょ! / 訳 黒田)
男も女も単独では存在し得ません。片方だけでは命は生まれない“不完全”。
お互いが手を取り合いパートナーシップが生まれて、初めて僕らはスタートラインに立てる、つまりそこでようやく本来持ち合わせている自由が生まれる…。 彼女の歌い上げる「自由」とは当時の男と女の本質を突くもので、そんな関係性や在り方を示していると思うのです。 またこの曲が歌われた1968年のアメリカは女性解放運動、更には公民権運動まっただ中。彼女はアフリカ系黒人の女性でしたから、性差だけでなく人種の問題についても問う“Think”だった訳です。
でもそこから50年経った日本では、未だ職業の選択はおろか大学進学の機会も女性から奪い、住む場所によって判定が変わるスポーツさえあります。あと数ヶ月で平成も終わります。チャンスは誰に対しても公平に与えられ、能力のある者が少しでもその力を発揮出来る、そんな時代が訪れますよう願ってやみません。
※ 曲名 / Think 作詞 / Aretha Franklin & Ted White
映画ブルースブラザースに出てくるセリフ、
『チキン4つとコーク』に想いを馳せて。 |
高らかにパワフルに歌い上げる姿は、感動そのもの!
何度観てもシビレます! |
この記事へのコメント
おこめ
すごいですね
ほな
口もでかいです。
ほな
すごい声量ですね。