おでんとクライミング日和

  • 2019.02.15
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季節が冬になり、雪が降るまでの間は絶好のクライミング日和だ。理由は簡単で、ただ山に行くのはつまらないし、雪が降ったらスノーフィールドに繰り出したいとなると、残った楽しみはクライミングというふうになる。

ここ数日の天候は安定していたので、岩は乾いてクライミングをするのにベストな状態だし、今の天気もまずまずだ。体中がウズウズしてたまらない僕は、朝食を食べている娘になんとなく「ねえ、岩登りしに行こうか?」と聞いてみた。帰ってきた言葉は、「行く!」と、想定とは違うポジティブなものでちょっと驚いた。

“娘心と冬の荒れ山”で、一瞬で気持ちが反転する娘の言葉を逃すわけにはいかない。今日は家でお絵かきをしたいと言っていた娘の気持ちが戻らないうちに、家族全員とこっそりそろえておいた娘のクライミングシューズやハーネス、そして自分たちの機材を車に積み込んで湯河原へ向けてアクセルを踏んだ。

娘は今回がクライミングのデビュー戦。やることなすこと全てが初めてだけに、家に帰るまで全てが楽しい一日になるように努めなければならない。なぜならデビュー戦が散々な思い出になると、もう一緒に来てもらえなくなってしまう(=自分が気軽にクライミングに行きにくくなる)からだ。ある意味お客様が一緒の登山よりも緊張する一日が始まった。

まずは愛犬クマの散歩がてら岩場がある山の中腹に向かう。いつもは僕と相性が悪いので邪魔なクマも、今回ばかりは感謝しなくてはならない。クマのおかげで楽しい道のりになった。

まずは目的地の岩場へ。
いつもと違うフィールドを歩く“クマ”も
なんとなく楽しそうだ
久しぶりの岩に僕も大苦戦。体は悲鳴を上げるも楽しい時間だ。



設定レベルが高くない目的の岩場に着いたら、僕は素早くロープ類をセッティングした。そして僕が登り方のコツを話ながら一番手で登り、続いて奥様がトライする。久しぶりに岩に触れる奥様は「ギャー!!」「この体の使い方気持ちいー!」など、歓喜の声を上げながら岩に張り付いていた。

娘の人生初クライミングが始まった。
想像よりも綺麗な登り方で子供が持つポテンシャルに驚いた。

おやつを挟んでクライミング再開前の娘。
普段したことがない、
手に粉を付けるビフォーアフターが楽しいらしい。

楽しそうな僕たちの姿を見た娘の闘志にも火が付いたようで、いつになく真剣な瞳で岩に取り付いた。なんでも「もうやめる!」と投げてしまう事が多い娘が、信じられないくらい長時間クライミングを続けているのが嬉しくてたまらない。

ズリズリと落ちても休憩を挟んではまた挑戦し、途中で落ちかけて泣きそうになってもおやつを食べたらまた自ら「もう1回やる」と言ってクライミングシューズを履きだした。昨晩の残りをフードコンテナーに詰め込んだだけの簡単なランチを済ませたら、後半戦が始まる。家族みんなでもう動けないというくらいまで楽しんだ頃には、日がほんの少し傾き始めていた。

ランチは前夜ののこりのおでん。
フードコンテナーが熱々のランチを提供してくれた。

スタートの合図と共におでん争奪戦が始まる。
ふたつあるうちの大きな方は妻が、小さな方は娘に取られてしまった…。
残念ながら僕はおでんの残りカスだけになってしまうも、
悔しいのでうまそうにほおばった。
当然満たされないお腹は予備のカップラーメンで補う…もこちらも
家族に奪われることに…。

帰りの車は静かなもので、奥様も娘もぐっすり夢の世界だ。彼女の寝顔を見て僕は、また家族で来れそうなことを確信する。さて、次はいつ行けるかな?

クライミング中、クマは近くの木に結んで観戦係。
時々いっしょに興奮して暴れたりしていた。
この日最終トライにして、とうとう自分で良いつかみ場所を発見した。

人生初登頂は本日5本目くらいで成功した。

筋肉が悲鳴を上げている僕を尻目に、娘は下山中も「やっほー」を楽しんでいた。若いっていいなあ〜。


この記事へのコメント


ぽんで

クマがいるんですか


とも

もっと大きなフードコンテナーがあれば長谷部さんも食べれましね。


ほな

おでんとクライミングの取り合わせがおもろい。

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