第123話 59でも61でもない

  • 2021.03.11
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コーヒー屋さんをやっているとコーヒーについて様々な質問を受けますが、特に淹れ方に関する質問は増えた気がします。やはりテレワークが拡がった影響か、自分でも家でコーヒーを淹れてみたいという人が増えたり、もっと上手く淹れるにはどうすれば良いか?といったやり取りが多いです。そこで今回は、ご自宅で美味しくハンドドリップするポイントについてお伝えしたいと思います。でもいわゆるレシピの話ではなく、レシピの背景や心構え?みたいなお話です。コーヒーの淹れ方自体は別サイトのプラスサーモスにてキッチリ解説していますので、是非そちらをご覧頂きたく♪
ハンドドリップの基本についてまとめて頂いた良記事です!
ズバリ結論から言うと、ハンドドリップで美味しく淹れるポイントは『いつも一定!』です。コーヒーにはいろんな抽出方法がありますが、ハンドドリップは僅かな違いによって味わいが大きく変化する抽出方法の一つです。だから温度は何度が良いとか、豆は何グラムだとか、蒸らしの時間が云々(うんぬんと読みます)などと実に多くのレシピが語られるのですが、極めて個人的なホンネをいうと…何でもいいです!(笑) それはどうでもいいという意味ではなく、あなたの好みの味に仕上がる温度、量、時間ならば、それがあなたにとっての正解!という意味です。
レシピは何でも良いと言いましたが、敢えて例外を挙げるなら熱湯NGです。試しに熱湯97℃と適温90℃でドリップしました。
考えてみれば、味の好みというものは人によって異なります。苦味がしっかりしたコーヒーが好きな人もいれば、フルーティーな酸を好む人もいるし、僕はその中間(笑)だったりします。そんな味の要素のうち最も大きなウエイトを占めるのは何か?それは材料となるコーヒー豆の味そのものです。では淹れ方とは?それは「材料の持つ味わいの、どの部分を強調・抑制させるか?」という仕上げを決める要素と言えます。だからそれぞれの好みの味わいがゴールだとすれば、人の数だけ淹れ方がある…つまり、何でもいい、と。「みんな違って、みんないい」というセリフはこの為に生れた言葉です(それはウソ)。
温度以外は全て同条件。ぱっと見は同じ様ですが、果たして…。
ただし!全員違うレシピで淹れようとも、そのコーヒーを“美味しく”淹れる大事なポイントは共通です。それが『いつも一定』なのです。ハンドドリップは僅かな違いでも味わいが変化すると言いました。その道のプロでも2回続けて同じ味のドリップをするのは、結構神経を使います。つまり再現性が低いのです。だからもし自分にとってお気に入りの味わいを作るレシピが決まったのなら、次に求められるのは再現性の高さなのです。いや、それ以前に、そのレシピを最初に試した時の味さえ、本当にレシピ通りの味なのか疑わしい可能性もあるのです。だから想像以上に『いつも一定』って重要なんですね。
後ろから光を当てると一目瞭然。熱湯(下)は濁って光があまり通りません。味も…想像通りです。
史上最も偉大な音楽家の一人ベートーヴェンは、自分でコーヒーを淹れる時にコーヒー豆をきっちり60粒、数えて使っていたそうです。しかも数え間違いながいか確かめていたという話もあります。1700年終盤から1800年初頭の話だと思うので、彼の抽出方法はいわゆる現在のペーパードリップじゃないのは確かですが、計量の影響はそれなりに大きかったはず。コーヒーの抽出に正確な計量を行ったというその逸話は、モノゴトに対する彼の姿勢…こだわりの人ではなく深掘りの人に違いない、と妙なシンパシーを感じるのです。音楽のことは詳しくありませんが、コーヒーを通じてなら分かることもあるって面白いですね。
60粒で約8~9g。昔の1杯は少なめなので100~120ml淹れたとすると、ちょうど良い感じかと。


この記事へのコメント


pon

熱湯はNGなんですね。


だあきち

難しいんですね。家でも毎回味が違います(笑)


ほな

永遠の課題ハンドドリップ。


まるまる

コーヒーも料理のひとつ、コーヒーはサイエンスだ!

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