第129話 高感度な世界(前編)

  • 2021.06.17
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こんにちは。皆さんお元気ですか?これを書いている今はまるで夏の陽気で、梅雨入りもしていないのに梅雨明けしたみたいな暑さです(…って書いたら梅雨入りしましたね笑)。こうも暑いと寝具も夏掛けのタオルケットなどにしている人も多いのでしょうか。寒がりで冷え症の僕ですが、それでも春~夏仕様でそれなりの薄掛けです。でも一つだけ“普通”と大きく異なる所があります。それは身体に掛けるもの以外に、頭の辺りを覆うためのタオルケットがあることです。正確には頭というより、首元から頬にかけて、そして何より耳を覆うためのタオルケットが必要です。耳を覆って遮音すると上手く眠りに入りやすいのです。我ながら奇妙なその行動の訳が「僕がHSPだから」だと知ったのは、割と最近のことでした。
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HSPという言葉をご存じですか?Highly Sensitive Person~直訳すれば「超繊細な人々」の頭文字です。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱された概念で、一言でいうと生まれつき敏感な神経の持ち主のことを指します。匂い、音、光、視界に飛び込んでくる様々な物の微細な違いを察知し、その多量の情報を受け止め吸収しようとします。その感覚は物だけでなく人に対しても働くため他者への共感力は高く、自分自身の内面をも敏感にキャッチします。結果、変化や異変に気付きやすかったり、人の想いを受け止めやすかったりします。一方でたくさんの強い刺激にさらされると、何気ない普通の暮らしでも酷く消耗することがあります。一説には5人に1人くらいいるそうで珍しくはありません。
例えば僕が眠る時に感じる音は、こんな感じです。隣で眠る奥さんの呼吸音や動きで、眠りが深くなっていく様子を把握しています。自分の呼吸音や、首筋の血管が枕カバーを打つ脈拍が聞こえます。キッチンの冷蔵庫のコンプレッサーが作動して、その振動で食器棚にあるお気に入りのグラスがビリビリ鳴って、使った後の仕舞い方が良くなかったかなと思い、窓の外からエアコン室外機の動作音がして「下の部屋の人、今夜は冷房付けっぱなしなんだな。」と思い、近くの自販機で誰かが飲み物を買う音は「硬貨を4枚入れた音だから130円かな。取り出し口に落ちたのはペットボトルの音だな。」風の音の移ろい、野良猫同士の争いのゆくえ、300mほど離れた国道を走る車両の音がトラックかどうか判断出来るくらいには捉えています。
これらの音一つひとつがちゃんと聞こえてきて、その音が何なのか認識しようと頭が働いてしまいます。これが僕にとっての日常です。こりゃ寝付きが悪いのも仕方ないです。ちなみに小学生の頃はうつ伏せで頭から完全に布団をかぶり、呼吸のため口元を少しだけ空けて寝ていました。独身の頃はシュラフで寝ていたこともあります。今はタオルケットやバスタオルで耳元をカバーすることで眠りに入りやすくなったというわけです。こんな風に音の問題一つとってもずいぶん刺激的なのですが、ここに匂いモードと光モードの情報が加わり、更にそこに居合わせる人々の精神状態も、時として熱や振動のような感じで伝わってきたりします。
こう説明するとHSPの人が神経症や潔癖症のように思われるかもしれません。でも違います!似ているけれど全然違います!〇〇症というのは何か特定のことだけ気になってしょうがない、バイアスのかかった状態です。でもHSPは、みんなが曇ったメガネをかけている中で、自分だけたまたま完璧に度が合ったクリアなメガネをしているようなものです。みんながメートル単位の物差しで話をしている中で、僕だけセンチ単位の物差しを使っているようなものです。そしてこの「感じる力が人よりちょっと強い」という高感度な気質を上手に活かすことが出来ると、実は良いこともたくさんあったりします♪おっと、文字数が尽きたので続きは次回に…。


この記事へのコメント


だあきち

色々な個性のひとつですね。


ゆーだいすきかあさん

わたしもそうかな 自覚あります


ほな

HSP夫婦ありますか。


江戸っ子

曇っメガネをかけている中で透明なメガネをかけている状態 良い表現ですね♪
でも、本当の世の中、透明なメガネをかけているのに、 自分のメガネは曇っているって言いきかせて生活している人々ばかりなのかもしれません。私も、会社に行くと 曇った眼鏡をかけがちです。


pon

興味深いお話でした。もしかしたら自分も当てはまるかも。次回を楽しみにしています。

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