第152話青空にこだまする僕のバクバク音

2022.05.19
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コーヒーナビゲーター黒田悟志

2月初めの申し込みから待つこと3ヶ月。遂にこの日がやって来ました！自動二輪（バイク）の教習初日です。待つ時間が長過ぎると、不安に駆られてブログやらYouTubeやらいろいろ検索しちゃうんですよね。僕より若くても教習に手こずる人がいたりして、返って不安は増すばかり。当日は朝から緊張してました。教習所へは自転車で向かったのですが、たまたまサイクリングに行く時と同じルートです。でもその日は誤魔化しようがないほど足元がフワフワし、陽射しはキラキラしていました。

教習車です。全国の自動二輪教習の多くがこのモデルなので、ほぼ皆んな乗った事あると言っていいバイク。

僕にしては珍しく、かなり早く着きました。受付を済ませて教習の準備をし、新品のヘルメットとグローブを手に集合場所へと向かいました。僕と同じく本日初日のご年配の男性がいました。「恐縮ですが、ちょっと写真を撮って頂けますか？」と話し掛けると、「あ、いいよ。ネットにアップするのかな？」と言って僕のiPhoneを受け取り、シャッターを切ってくれました。偶然僕と色違いの同じヘルメットをお持ちで、そんな事さえ気持ちの支えになります。写真、確かにアップ致しましたよ！某コラムに♪

撮ってもらった写真。貸出用プロテクター装着は必須。パラパラ漫画を描く人じゃありません。風が吹いておでこが心より広くなってます。

初教習者は5名いました。僕よりお兄さんが2名(60代！)、若者が2名(20代くらい)、そして僕です。最初は各部操作の説明から。間違えたら危ないし遅れたくない一心で、とにかく集中して操作します。でも中にはパッと操作出来ない人も。強い緊張感のせいで、簡単な事も出来なくなっているようです。一連の説明が終わると次は実走です。まずはバイクを手押しで移動させます。それもなぜか最後尾の僕から！つまり実走では先頭で走る事に。皆のふり見て走れるよう、スッと最後に並んだのがバレてたのでしょうか？１限目はコースに移動させて終了でした。

これは教習2日目。雨予報でレインウエアを着ています。自転車用だけど。

短い休憩を挟んで、いよいよ実走です。先頭です。視線が熱い…。エンジンを掛け、静かにアクセルを…と思ったらブォーン！！とふかして慌てる僕！緊張感がエンジンに連動している！原付とは比較にならない大きな車体とハイパワーなエンジンで、初めはギクシャクしました。でも若い頃原付のマニュアル車に乗っていた経験が蘇ると、コツが分かって来てスムーズに走れるように。背後ではまだ多くの人が操作に手こずったままです。当然そちらの指導が優先となり、教官は僕に「どんどん行って」と合図して周回コースを先へ先へと走らせてくれるようになりました。

教習コースの端にあるバイク専用スペース(一部)。
様々な教習過程の人同士、お互いに譲り合って走ります。

気持ちにゆとりが出て来ました。ふと空が広い事に気付きます。サイクリングロードの空と同じです。その時周回していた直線路で前が空きました。僕はその日の目標と言われたスピードまでためらわず加速しました。それはほんの数秒の事ですが、自分がなりたい自分に近付いた様な気がしました。と、後方で鈍い音。若者の一人が急ブレーキをかけて“ヤバい転び方”をしたそうです。見ていないので状況は不明ですが、コース内が一瞬ざわついたのは分かりました。

教習2日目の後半はしとしと雨。急制動もやりました。
雨の日は得るものが大きい気がします。

自動車と違い、バイクは教習中でも自己責任のウエイトが大きいです。だから怪我をしない限り、教習所内でリスクを経験しておくことはとても有意義だと思います。一度公道へ出たなら、リスクは可能な限り避けるべきものだからです。実際に教習所へ行ってみて「免許を取るため」だけに過ごすのは勿体ないと感じました。僕は限られた教習時間の中で可能な限りライディング技術を高めたいと思ったし、それこそが安全で豊かなバイクライフを長く楽しむ基盤となる気がしたのです。