皆さまお暑うございます。残暑厳しい日々ではありますが、秋冬に向けてちょっと面白い計画に取り組んでいます。まだ言えないのですけど…。先日、その計画絡みでオーガニックのコーヒー豆が必要となり、サンプル豆を取り寄せました。オーガニックとは無農薬有機栽培、つまり化学肥料や農薬を使わずに栽培することです。何だか自然や身体に優しい感じがしますよね。でも農園などの作り手側にとっては、優しいどころか大変厳しいものです。と言うことで今回はオーガニックコーヒーのお話を。
珍しく結論から言うと、日本では無農薬有機栽培をすれば「オーガニック」や「有機」と言って良い訳ではありません。通称”有機JAS法”と言う法律に基づいて「有機JASの認定」を得たコーヒー豆だけが、その表現を使って良いことになっています。そして認定を得るためには、まずコーヒー豆を栽培した農園(圃場)自体が有機JASの条件をクリアしていないとダメです。つまり「認定された環境」があって、そこで所定の条件に見合う栽培をしたコーヒー豆にようやく認定が付くのです。ところで認定の条件とはどんなものだと思いますか?
様々な規定があり、細かい点は正確な表現ではないかもしれませんが、まずは「3年以上に渡り、農薬や化学肥料を全く使用していない農場」であること。例えば農家さんが蚊除けのために蚊取り線香を点けて作業をしたら、もうそれでNGです。他にも「栽培、加工、流通、貯蔵の過程でも化学薬品を使っていない」というのもあります。これはコーヒー豆自体に使っていないのはもちろん、有機栽培じゃない普通のコーヒー豆と同じ設備や施設を使ってもアウトです。そのため例えば生豆を輸出入する際のコンテナや倉庫も、有機専用の物や場所が必須です。
更に僕のような自家焙煎店でも同じことが言えます。もしデイドリップコーヒーで「無農薬有機栽培」と書いてコーヒー豆を販売しようと思ったら、他の豆は一緒に置かない有機専用の保管庫、有機専用の道具類、そして有機専用の焙煎機が必要です。当店はとても小さな店なので店内にそんな場所は作れず、結果的に有機専用でもう1店舗作らない限り、事実上不可能です。有機JAS認証はそれくらい厳格なものなのです。逆に言えば日本の有機JAS認証がついている食品は、農園→物流→加工の全てで厳しい条件をくぐり抜けてきた、お墨付きのピカピカな存在なのです。
でも無農薬有機栽培をしている農園でも、認証を得るための手間やコストを避けるため認証の申請をしない所も多いです。またあるレベル以上の農園では減農薬など環境に配慮した栽培を行っています。そして当店のように認証が無いお店でも「無農薬有機で作られた生豆(原材料)です」と表記することは認められています。それらは認証取得のコストをお客さまへ負担させることなく「基本的に安心・安全と分かるモノ」をお届け出来る形とも言えます。認証が付いていれば何よりですが、それ以上に何のための無農薬有機なのか、何が大切なことなのか、を見極める感覚こそ大切にしたいですね。
この記事へのコメント
Kazu
素晴らしい!
おこめ
勉強になりました
かぐや姫
こだわりを感じるけど、味の違いはきっと私には分からないだろうなぁ。
定年ゴルファー
夏でもホット!!
だあきち
一口にオーガニックっていってもいろいろあるんですね!
おいしいコーヒー、飲んでみたいです(^^)
りょう
有機JAS認証を得るために、それほど厳しい条件があったとは知りませんでした。そこまで手間をかけているからこそ、認証が信頼できるのですね!
ミキ
もう、ただただ飲んでみたいのひとこと‼️
江戸っ子
「無農薬有機栽培」専用の焙煎方法があるなんで知りませんでした。
色々な方々が、苦労の末の「無農薬有機栽培」なのですね。
チャロパパ
流石です。
スッチー
良いです。
ポンちゃん
「無農薬有機栽培」名を付すのが大変なことがよく分りました。 リーズナブルな販売方法も理解できました。
コーヒーブレイク
人も地球も自然体が一番ですね
ぽんで
無農薬で作るのは大変でしょうね
hirune
みんながウィンウィンになれる自然なことで
幸せを感じられたらいいですね
ほな
無農薬有機栽培は貴重なんですね。わが町では無農薬農家は2件しか存在しません。