今年の2月の東京は、気温が激しく乱高下しましたね。一時は暖かな日が続き、そのまま春になるんじゃないかと焦るくらいでした。と言うのも、月末にウチの店で燗酒を愉しむイベントを予定していたからです。コーヒー屋なのに燗酒?奇妙な取り合わせだと思いますよね。実は以前から店のドリンクメニューには日本酒があり、銘柄は気分で入れ替えていました。そんな中、ご近所にお住まいのYさんが日本酒に関わる仕事をしていると知り、来店のたび日本酒の話で盛り上がるようになりました。それが高じて、一部の常連客が集う日本酒の飲み比べ会が始まり、いつしか「日本酒の会」という人気のイベントになったのでした。
「日本酒の会」は”お猪口一杯分の酒”と”一口分のアテ”という組み合わせを基本に、数通りのペアリングを楽しむ会です。毎回何らかのテーマがあり、ペアリングや順番もコース料理のように起承転結を意識した構成となっています。それらの内容は全てYさんプロデュースです。今回は初めて燗酒をメインに企画された会で、それなら寒い季節が良かろうと2月に設定したのでした。それが冒頭のお話の通り、暖冬どころか5月頃の気温に達する日もあって…。ところが開催の数日前から寒の戻りでグッと冷え込み、しかも当日は雨。最高の燗酒日和?となりました。
まずはYさんの心遣いで皆さんに温まってもらうよう、梅干し塩昆布湯からスタート。そして1つ目のペアリングは純米吟醸の春酒「あたごのまつ はるこい」の冷やと、「菜の花とホタルイカのナムル」という旬の組み合わせ。春らしさを味わった所でいよいよ本題の燗酒ペアリング、「杉錦」生酛(きもと)特別純米のお燗と、「鶏つくね落し焼きの蕪おろし添え」で一気に深みへ。あぁ、もう戻れない〜笑。今回のお酒、冷やは全て純米吟醸または純米大吟醸、お燗は全て生酛系と呼ばれるラインナップ。いずれも日本酒の造りの違いを表す言葉ですが、お燗や冷やといったオススメの飲み方にも通じます。
この後も三寒四温のごとくお燗と春酒の冷やを行き来しつつ、アテとのペアリングも様々な切り口で展開していきます。それは味わいの濃さや質感を合わせたり、色合いやテクスチャーを掛けてみたり。圧巻は郷土料理の信田煮。袋状の油揚げに具材を入れた煮込みですが、中を覗き見るとなんと小さなおでんが数種!まるでミニチュアのようです。お燗にはおでんが合うけれど、おでんばかりだと味の変化が乏しくなるので、コンパクトにまとめてみたそう。ボクには到底思い付くことの出来ないアイデア。さすがYさん!
Yさんはいつもそれぞれの日本酒にまつわるエピソードを交えて紹介してくれます。それは米の品種や酒造りといった日本酒の基本的なことから、蔵元の抱える事情や酒造りに込められた想いに至るまで。そして会の最後には、参加者の誰もが日本酒の魅力と奥深さを知り、「もっと知りたい!飲んでみたい!」という気持ちを抱きつつお開きとなります。僕は“コーヒーの人”なので、Yさんとは扱うものが異なります。でもYさんの日本酒に対する敬意、多くの人に伝えたいという想い、また日本酒を嗜む人々へ向けられた愛情…それら全てをひっくるめて、いつも深い感動を覚えるのでした。僕もコーヒーのことをこんな風に伝えられたらいいな。
この記事へのコメント
ガチャピン
沖縄郷土料理にも日本酒・ワインと相性が格別です。沖縄県産の銘酒『泡盛』と同じく沖縄県産の幻の銘酒に近い『IMUGE.』(イムゲー)も日本料理に相性が格別です。お薦めです。
ゆーだいすきかあさん
楽しさが伝わってくる~~(^^♪
バジル
和やかですね
新
ホントいい酒の肴で一杯や!
かぐや姫
お酒もいいけど、アテも楽しい!
帰り道はフラフラだなー
ヨー
地元の日本酒あります!
何か嬉しい…。
はる326
飲み比べ、いいですね。私もよく「角打ち」、に行きます。
コレステロール
日本酒
難しい
好みが分かれるからなぁ〜
江戸っ子
日本酒もいろいろと深く知ると楽しいものですね。
おつまみもおいしそう~
ReN
花垣さんのお酒があるのが嬉しかった。
スッキリした透明度の高いお酒を飲ませてくれるので一番好き。
種類が多い日本酒だから、ペアリングで提供してもらえると新たな発見がありそうでいいですね~。好みじゃないのもあるでしょうが、それもまた一興。
チャロパパ
ツマミが美味しそう。
ほな
コーヒーの次は日本酒ですか。いいです。
かぐや姫
色々な日本酒の楽しみ方をバーチャル体験できた気がします。
器に料理にこだわって、もっと楽しみたいですね。
でもあまり強くないので、お勧めの容量少なめセットなんかあるとうれしいな。
ポンちゃん
アテとのペアリングが素晴らしいですね! これは是非参加したくなりますねぇ~
スッチー
良いです。
コーヒーブレイク
日本酒は世界中で人気ですがEUでは今後輸入に際し税がかかり日本酒打撃が予測されるとか。瓶のリサイクルの面での問題だそうですが、美味しい日本酒は世界中で味わってほしいですね。
ぽんで
日本酒も種類が豊富すぎて困ります。
hirune
日本酒は奥深いですもんね