第19話 コーヒーと平和

  • 2016.10.31
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空が高くなり、空気が少しずつ冷たくなってきて、季節の深まりを感じます。
秋はコーヒーが美味しい季節ですね。でも美味しいコーヒーが飲めるって、季節感以上に大切なことがある、と思っています。
それは「平和」。
唐突に何を言うって感じですね。
彼女に今回のテーマを聞かれ「コーヒーと平和だよ」と言ったら、「トルストイかっ!」って突っ込まれましたが、まあ聞いてやってください。
深煎りのブラックコーヒーの様な話だけど(笑)

あなたが飲んでいるそのコーヒーの豆、ほぼ100%外国産です。
国内では沖縄など一部で栽培されるものの、商用としては質・量ともに充分な生産には至りません。 コーヒー豆が栽培出来るのは南北回帰線の間で、かつ一定の条件が整った国や地域だけだからです。 日本に限らずヨーロッパや北米など「先進国」と呼ばれる国々は同様で、コーヒーがどれほど浸透し、どんなにオシャレに飲もうとも、自分たちの暮らす場所では栽培さえ満足に出来ないのです。
そんな大前提があるからこそ、コーヒーにとっての「平和」が大切だと思うのです。
ちょっと具体的にいくつか挙げてみましょう。
    戦争をしていない
例えばイエメン。ここはエチオピアと合わせて「モカ」とよばれるコーヒーの産地ですが、現在は連合軍の空爆や、混乱に乗じたISやアル・カイーダのテロも活発化しており、コーヒーどころじゃない状況です。生産国が平和なのはもちろん、その国と貿易出来る平和な関係があってこそ、コーヒーは美味しく頂けるのですね。

    自然環境が安定している
ブルー・マウンテンが高騰した原因は、ジャマイカを襲ったハリケーンにより収穫量が大幅に減少した為と言われています(それだけじゃない様だけど)。また大規模な病虫害が発生し、収穫量を大きく落とす国も見られます。
    経済が機能している
コーヒー生産国は経済力の低い所が多いです。経済力の低さは貧困を生み、貧困が進むと治安の悪化を招く。それが更に経済を低迷させるという悪循環。またコーヒーの栽培地はケシの栽培にも適していたりして厄介です。また貿易上の価格相場も重要です。以前大暴落した時はコーヒー農家が廃業したり、ケシ栽培に転向する例もあったとか。
たとえ戦争をしていなくても、経済が機能しなければ治安や産業基盤は安定せず、コーヒーはビジネスとして成立しません。結果、僕らは美味しいコーヒーを手に入れることが出来なくなります。

だから、美味しいコーヒーは「平和」じゃなければ飲む事が出来ない、という訳です。
なんだかカタイお話で申し訳ない!
でも美味しいコーヒーを楽しめるということが、いかに素晴らしいバランスの上に成り立つ「平和」によってもたらされるものなのか、お伝えすべきだと思って。

深まりゆく秋に愉しむ、一杯のコーヒー。
その一口の向こう側にある様々な平和を、豊かな香りや味わいと共に感じて頂けたら幸いです。


この記事へのコメント


おこめ

いいですね


ほな

珈琲論議役に立ちます。

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