第22話 たまにはプシューっと。

  • 2016.12.12
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「コーヒー」、と聞いて思い浮かべる香りや味わい。それはどんなものですか?
恐らく多くの人が、ペーパードリップで抽出されたコーヒーを思い浮かべているのではないでしょうか。 日本では誰もがこの「ペーパードリップの味わい」を、「普通のコーヒー」として経験しています。 一般家庭では通称「三つ穴」なんて呼ばれるカリタのペーパードリッパーが広く普及したおかげで、それが抽出の基本形になりました。 でも世界的に見ると、これはいろいろな抽出方法のひとつに過ぎず、それどころかペーパードリップ自体が主流ではない国も多いのです。

ペーパー以外の主な淹れ方では、エスプレッソとフレンチプレスが挙げられます。 エスプレッソは元々イタリアで見られる抽出方式でしたが、いわゆるシアトル系と呼ばれるチェーン店によって世界的に広まりました。 カフェスタイルでは定番ですね。聞いた事も飲んだ事もあるかと思います。
さて、一方のフレンチプレス。ピンとこない方はまだ多いかもしれません。 でも実はほとんどの方が見たことあるはずです。 よく喫茶店で紅茶を注文すると出てくる、筒形のガラス器具を見たことはありませんか? 3分くらいしたらハンドルを上からプシューッと押し下げて、抽出を止めるアレです。実はこれ紅茶を淹れるものではなく、本来コーヒーを抽出する為のものなのです!

フレンチプレスはその名の通りフランスは勿論、その他のヨーロッパ諸国で広く使われている器具・淹れ方です。 今でこそ「サードウェイブ」ムーブメントのおかげで、ペーパードリップはイケてるスタイルとして拡がりをみせていますが、依然としてヨーロッパの多くの国では、コーヒーというとプレス式かエスプレッソになると思います。 とはいえ機会ある度に聞いた話でしかなく、周遊して確認してないので…誰か連れてって(笑)


フレンチプレスに関して、味わいはどうなんですか?と最近よく尋ねられます。 ペーパードリップと比べると、油脂成分の多いコクのある印象です。 ペーパードリップは、本来コーヒー豆に含まれるたくさんの油脂成分をフィルターが吸い取り、しっかりと濾過するため、スッキリしてクリアな味わいが特徴です。 でもプレスは金属フィルターで濾過をするため、成分を吸い取ってしまう所がどこにもないのでコーヒーオイルの活きた味わいになるのです。

例えるなら、ペーパードリップが澄まし汁の中に豊かな風味を見出すお出汁の世界だとすると、プレスは牛脂やバターを味わうスープの様な、そんな違いがあります。 それはそのまま食文化の違いだとも思っています。

また成分を吸い取ってしまう所がないという事は、コーヒーに含まれる味が全部出てくるので、誤魔化しが効かないとも言えます。 結果、美味しい豆は実に美味しく、そうじゃない豆はそれなりの味わいになると言えます。 ただし構造的に微粉も多く出るため、そのザラつき具合のせいで好みがはっきり分かれるとも感じます。

これはもう良し悪しでなく、好き嫌いの世界。同じ豆でも全く別物の味に仕上がります。 新たな発見があるかもしれません。フレンチプレス、良かったら是非お試しを♪


ちなみにここまで書いてナンですが、僕はペーパードリップLOVERです(笑)
なんたって自分の興したブランドにDay Drip Coffeeって命名するくらいですから。


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