ギアナ高地の旅 最終回

  • 2017.06.08
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このコラムは 「ギアナ高地の旅 その2」 のつづきです


2日間かけてたどり着いたギアナ高地の麓。いよいよ4〜5000万年前の大地が広がる頂上へ向けて出発した。

いつまでも続く急な登りを頂上を夢見ながら進む。
昨日までのなだらかな丘越えから急に急角度の岩場の登りが始まった。途中は雨が作り出した落差数百メートルの小さな滝が何度も僕の身体をクールダウンしてくれた。
濃霧に近い岩場を何時間も進み続けると、今まで影の様に周囲にあった岩達が急に無くなり、霧越しにも広い空間が目の前に広がる場所まで来たことが感じてとれた。僕が夢にまで見たあの大地の上に立ったのだ。
時々薄くなる霧の奥には、もともと海底だったことをうかがわせる奇岩があちこちに鎮座している。
インターネットの世界が無い当初の冒険者達は、きっとこの光景を見て僕以上に恐怖感と達成感、そして興奮を味わったことだろう。

ロライマ山の頂上は、僕の想像を簡単に超える世界があった。
この日は天候が崩れる前にキャンプ地まで進み、テントを設営して周辺を味わうことにした。テントをたてる場所は、数千万年かけて作られた天然の岩の軒の下。日々グショグショに濡れる服を期待はせずに干し、そして散歩、夕食時間を楽しんだ。

天然の軒下があるキャンプエリア。ここで合計2泊した。
翌日はロライマ山の頂上のさらに奥へ進むことにした。平らな形をしている頂上部分は広大で、頂上なのに地平線があるくらいだ。

山の頂上とは思えないほど広大な土地を歩く。
水晶が敷き詰められた大地や、サッカーボール大の球体の岩がゴロゴロ転がっている場所など、数分おきに、数千万年分の時間軸がズレてしまったのではないかと思わせられるような光景が目の前に飛び込んでくる。

通称「恐竜のサッカーコート」。
大きな丸い岩が局所的に転がっていた。

雑草のようにあちこちに水晶があった。
※持ち帰り禁止
この日のキャンプエリアは元々海底洞窟だった場所。ちょっとした迷宮のように中が入り組んだ場所で、雨風も完全にしのげるし、寝起きしているだけで冒険心をそそられる。僕はこの場所が気に入って数泊することにした。

お気に入りの場所でのティータイムや、至福の食事時間は、山専ボトルが活躍してくれた。

一番お気に入りのキャンプエリア。海底洞窟の中でのキャンプ生活はいるだけで冒険心を刺激された。

天気が良い時間は天然のプールで身体を洗い、日光浴を楽しんだ。
大雨での停滞もあったが、頂上での4日間を堪能した僕は、同じ道を2日間かけて戻り、無事にゲートの村まで帰ることが出来た。本当はあと10日間ほど過ごしたかったのだが、現実社会はそれを許してくれない。 かけがえのない時間を一緒に作ってくれたチームメンバーと別れを告げて、僕はギアナ高地周辺の自然調査をしながら帰路へのカウントダウンを始めることにした。

帰り道に、なかなか見られないという「動く虹」に出会うことが出来た。
帰国後の僕は、いうまでもなく休んだ分だけたんまりと貯まった仕事に忙殺された。
でも今回の旅のおかげで、「次はどこへ行こうか?」という企みの心に癒されながら今年を乗り切ろうと決心するのであった。

僕の旅を支えてくれた仲間達。色々あったが、こいつらが好きになった。


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